「私はクリスマスが好きではない……」と言うと、夫が心底から驚く。「どうして? 美味しいものをいっぱい食べて、家族で集まって、一番楽しいホリディだよ」
カナダのクリスマスについて、日本にいる私の家族や友人に説明するとき、お正月に近いという言葉を使うようにしている。日本では恋人同士で楽しんだり、小さい子どもにプレゼントをあげたりするが、家族で過ごす、“ファミリーイベント”だからだ。
クリスマスの時期は、帰省ラッシュのような状況になり、空港は大忙しだ。25日のディナーに用意する、スタッフィング(詰め物)を入れた七面鳥などは、お節のように、いわばハレの食事で、家族や親族、友人が集まって食べる。遠くに住んでいて、普段、顔を見る機会がない人に会うことができるのは確かに楽しい。オーブンから大きな七面鳥を取り出して、切り分けるときにはウキウキする。私が苦手なのはプレゼントの部分だ。
子どもに関しては、周知の通り、良い子にはサンタクロースがプレゼントを持ってくるということになっている。日本だと枕元にプレゼントを1個置いておくと思うが、カナダのサンタクロースはたくさんプレゼントを届けて、クリスマスツリーの下に置いて行く。
初めてカナダで過ごしたクリスマスに、プレゼントの量を見て「どうして、そんなにプレゼントを買うの?」と呆れる私に、「そういうものなんだ。君も日本ではどうしてお正月にお年玉をあげるの?と聞かれると、そういう習慣と答えるんじゃない?」と夫は答えた。
習慣、しきたりと言われると仕方がない。しかし、商業主義に踊らされているようで、私にはどうも納得しがたい。クリスマスのたびにモノが増えるのを、忌々しい気分で眺めてきた。
今年は末っ子でさえ10歳。子どもたちは一人として、サンタクロースの存在など信じていない。だから、そんなにプレゼントは必要ないでしょう?と思うのだが、残念ながらそうはいかない。クリスマスツリーの下には山のようにプレゼントが積まれているものというイメージがあるからだ。
上の息子などはゲームソフトを欲しがることもあるが、ほぼオモチャは卒業。洋服やスポーツグッズなどをあげる。本の虫の娘には本。末っ子はまだオモチャを欲しがる。
夫は何かひとつメインのプレゼントをあげて、後は“小物”でよいという。そこで、小市民の我が家では、数を増やすために、実用的なソックスや下着セットなども包んだりする。当然ながら、子どもたちはあまり嬉しくないようだ。友人はクリスマスにパジャマを新調することにして、パジャマを用意するそうだ。真似しようかと思ったが、我が家ではみんなTシャツにジャージで寝ているので不要だ。そこで、ソックスなどはクリスマス柄など少し遊び心のあるものを選ぶようにしている。
数を増やすだけではダメで、子どもたちはそれぞれ何個、プレゼントをもらったか数えている。同じ個数でないと、「XXのほうがたくさんもらった」とクレームが来てしまう。そこで、最終的に24日の深夜にもう一度数合わせが必要だ。一人だけ、少ない場合などは、やけっぱちで、買い置きしていたチョコレートを包むなどして間に合わせる。
私が子どものころは、お年玉も全て貯金させられた。「クリスマスって本当は、キリストの生誕をお祝いするもので、プレゼントは関係ないんじゃないの? 無駄遣いはやめようよ」と、毎年、頼んでみるが、私の意見は却下される。
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クリスマスと言えば、やはりローストチキンだが、家庭でも気軽に作れる手羽肉メニューを紹介しよう。クリスマスの時期はパーティ、それもポットラック(持ち寄り)に出席する機会も多い。簡単な上に好評のメニューだ。
クリスマスのポットラック・パーティに持参した手羽肉のグリル。今回のパーティには、みかんも並んでいた。意外かもしれないが、カナダではクリスマスにみかんを食べる習慣がある。日系移民が持ち込んだそうだ。
レシピ
手羽肉のグリル
材料
手羽肉12本
調味料
- ハチミツ 1/2C
- しょうゆ 1/4C
- オリーブオイル 大さじ2
- ケチャップ 大さじ2
- ニンニクのみじん切り 1片分
- 塩コショウ 少々
- ジップロックなどの袋に調味料を入れて、混ぜる。
- 手羽肉を入れて、一晩、寝かせる。時間がなければ2~3時間でも可。
- 190℃のオーブンで1時間焼く。
≪ふじき・みきこ/プロフィール≫
バンクーバー在住のフリーランスライター。今年はクリスマスからお正月にかけて、日本に帰国する。お年玉をあげるから、プレゼントはやめようと言っているが、賛成は得られていない。