238号/スプリスガルト友美

初めてのテスト期間が終了した。といっても娘のことではなく、自分のことだ。

昨年10月からポズナンにある国立大学の修士課程に通っている。専攻はポーランド文学部の中に設置されている“文化というコンテクストにおけるポーランド学科”。

外国の学校で、その国の人たちと席を並べて同じように勉強するというのは、中学で英語の世界にのめりこんだ時からの夢で、まさか日本の大学を卒業して20年近く経ってからその夢を叶えることになるとは思ってもみなかった。

心のどこかで「今さら大学に戻るなんて……」と考えていた私の背中を押してくれたのは、家のことも勉強のことも協力するといってくれた夫の温かい言葉はさることながら、『地球はとっても丸い』で連載中の『スクラブ-おばさんモニタリング技師の勉強法』だった。アメリカでモニタリング技師をされている伊藤葉子さんは、現地で手に職を得るために幼い子ども二人を抱えてカレッジに通い始めたそうで、その大変ながらも楽しそうに勉強されている様子を毎回読みながら、私ももう一度挑戦したくなったのだった。

とはいえ、ただ日常生活にポーランド語を使うのとは違って、毎週課題として出される大量の論文や文学を読んだり、テストのために勉強したりというのは思っていた以上に大変で、小学生の娘にまで「ママ、また勉強?」などと言われる始末。

悪戦苦闘しながらもなんとか最初の半年を乗り切れたのは、同級生が全部で7人という少数精鋭(?)のこぢんまりとした専攻のおかげかもしれない。結束力があり、励まし合いながら一緒に頑張れたという気持ちがある。自分の子どもといえなくもないような年齢の学生ばかりだが、そんな仲間に囲まれて若返ったような感じさえする。

『地球はとっても丸い』には、外国で頑張るたくさんの人の体験談が詰まっている。そのひとりひとりの物語から元気をもらいながら修士論文を執筆し、1年半後無事に修士号を取得できたらと思う。

     (ポーランド・ポズナン在住 スプリスガルト友美)