第6回 コリーと一緒に幸せな毎日を(最終回)

せっかく暖かくなってきたかと思うと零下の気温に逆戻り、というまさに三寒四温の日々を繰り返し、ようやく春がやって来た。“暖かい”を通り越して暑いくらいで、行きかう人もTシャツやノースリーブ姿が多い。

(左)チラが今のラッキーと同じ1歳半だった頃の写真。こんな時があったんだなと懐かしさがこみ上げる。 (右)ラッキーのほうは額のハート(?)がトレードマーク。娘は“矢印”と言ったりもしている。(左)チラが今のラッキーと同じ1歳半だった頃の写真。こんな時があったんだなと懐かしさがこみ上げる。
(右)
ラッキーのほうは額のハート(?)がトレードマーク。娘は“矢印”と言ったりもしている。

ラッキーはといえば1歳半になり、寒さも暑さも初めて実感しているように見える。男の子だからなのか、チラよりも毛が多くモコモコしている。冬の間はそれが暖かそうでうらやましくも思えたのだが、20度を超えるようになるとその立派な毛皮がかわいそうになってきた。きちんと夏毛に変わるのも初めてのようで、ブラッシングを繰り返してもまだまだ毛が抜けてくる。

音の感じ方も変わってきた。まだ生後2か月ほどだった1年前は、新年を迎える花火の音なんて気にもせずぐっすり寝ていたラッキーだったが、今年は何事かと驚いて落ち着かない様子であっちに行ったりこっちに来たり。また、暖かくなり始めた頃、春の嵐で雷がゴロゴロ鳴っていた時も、耳をそばだててジッと窓の方を見つめていた。夕方の散歩中に雷が鳴り、稲妻が光り始めた時には軽くパニックになりそうだった。その時は私が一人で散歩に連れて行っていたので、私の方もビクビクしながら歩いていたのがラッキーにも伝わってしまっていたのかもしれない。ゴミ清掃車や大型トラックはいまだに苦手だが、路面電車は気にならなくなったようだ。

4.	でも一番好きなのは椅子の下で眠ること。この椅子が壊れてもまた同じタイプの椅子を買わなければならないかな。でも一番好きなのは椅子の下で眠ること。この椅子が壊れてもまた同じタイプの椅子を買わなければならないかな。

椅子の下にもぐるのは相変わらずで、ここに入るためにもう大きくならないことにしたのではないかとさえ思ってしまう(といってもチラよりは大きくなったのだけど)。

成長は“友達関係”にも見られる。今までは他の犬を見ると立ち止まって座り、通り過ぎるのを待っていたのが、最近では何度も会う犬にはしっぽを振りながら自分で近づいて行くようになった。これを犬の世界では友達というのかもしれない。

“ガールフレンド”もできた。ラッキーと同じくらいの年頃のボーダーコリーで名前はロクシー。お互い一目惚れ(?)だったようで、他の犬は怖がっていたラッキーもロクシーには最初からすり寄っていた。自分と似た種類の犬は分かるのだろうか。今では遠くから見るだけでお互いにクンクン鳴くほどだ。散歩コースの都合があるので、道の反対側を歩いているところをわざわざ道を渡ってまで挨拶しには行かないのだが、恋しそうに鳴いているのを見るとちょっぴりかわいそうになってしまう。ロクシーの飼い主さんもそれが分かっているようで、すれ違う時にはなるべく立ち止まって遊ばせるようにしてくれている。ロクシーの雰囲気やはしゃぎ方はどことなくチラに似ていて、ふとした仕草に(当たり前のことなのだけど)ああやっぱり女の子は違うんだなと思ったりする。

成長しているのは娘も同じだ。チラと涙のお別れをし新たにラッキーを迎えた時8歳だった娘は、間もなく10歳になる。チラがもう目を開けてはくれないことがすぐには実感としてわかず、チラが家に戻ってこないことが分かってから「どうしてチラがいないの?」と泣きじゃくっていた娘が、ラッキーに対してはお姉さんのように振る舞い、遊んであげたりブラッシングをしてあげたりとよく面倒を見てくれている。ラッキーの方も娘に対しては一番心を開いているように見える。大切な姉弟で親友といったところかもしれない。

3.	遊び疲れて眠るラッキー。こうして見るとやっぱりまだまだ子どもだなと思う。遊び疲れて眠るラッキー。こうして見るとやっぱりまだまだ子どもだなと思う。

この先、娘がが成長していく過程で私たちのライフスタイルも変わっていくだろう。でもひとつだけ変わらないと思えるものがある。それは家族の中にいつもコリーがいるということ。チラのいない生活が考えられなかったように、ラッキーがいない生活も考えられない。この愛くるしい表情や仕草に癒されながら、これからも幸せな日々を送っていきたい。

 

スプリスガルト友美/プロフィール
暖かくなったので、最近では少し長めに散歩するようにしている。チラがまだ若かった頃はこんなところをよく歩いていたな、なんて懐かしく思い出すこともしばしば。いつの間にか私の中のチラのイメージは、娘が生まれてからの8年間のものになってしまっていたが、ラッキーを見ながら、その前の5~6年間のことが鮮やかによみがえるようになってきた。

チラとラッキー、どちらも大切な我が家のコリー。これからもチラとの思い出を大切にしながら、ラッキーと楽しく暮らしていけたらと思う。

連載を読んでくださった皆様、ありがとうございました。

ブログ「poziomkaとポーランドの人々」
ブログ「ポーランドで読んで、ポーランドを書いて」