3:アラブの水びたしトイレ/ドバイ

異国に出ると一番心配なのがトイレ事情。特に女性には切実な問題。果たしてアラブのトイレってどうなのか。

アラブのトイレは意外にも水洗トイレが主流。それも壁を向いて便器にしゃがむと言う和式トイレに限りなく近い形。厳密に言えば和式トイレのドーム部分が無く、足を踏ん張る部分も白い陶器で出来ていると言ったイメージ。男性も女性と同じくしゃがんで用を足すそうだ。

ホース付き

用を足した後で辺りを見渡してもたいていトイレットペーパーが無い。その代わりにおもむろにあるのは壁からホース。何故?どうするの?と慌てるなかれ。実はこのホースを壁から取り外し水を出してお尻をジャブジャブと洗う、シャワー式トイレなのである。時には紙を備え付けているトイレもあるが、基本的にここでの紙は水で洗った後の水分を取るためのもの。当然水溶性ではないので便器に流してはいけない。アラブ人いわく「紙で拭いただけでは汚い。手だって汚れたら紙で拭くだけではなく水で洗うでしょう?」。確かにごもっともである。

アラブ首長国連邦ドバイは外国人人口も観光客も多いため、大抵の公衆トイレは今や洋式が主流。でもホースはやはり付いてくる。アラブ人は習慣で洋式トイレの便座に土足でしゃがみ、ホースで水洗いという人もまだまだ多い。そう、順番待ちでそんなトイレに当たった日には床は水びたし、便座には靴の跡。途方に暮れる事も多々ある日常の経験である。

いせもとゆかり/プロフィール
アラブ首長国連邦ドバイ在住のワーキング・ウーマン・ライター。前任地ヨルダン・アンマンを経てドバイ在10年を機に現在転勤、引越し計画中。10年以上慣れ親しんだアラブの習慣から抜け出せるのか、社会復帰できるのか大きな不安と別れのセンチメンタルな気持ちの交錯する今日この頃。