3  デンマークからの応援メッセージ/デンマーク

地震、津波、そして原発、日本の震災はデンマークでも報道されています。そのなかで、デンマーク人、デンマーク在住の外国人から、感動するコメントをいくつかいただきました。「私の心は日本と共にある。これ以上の被害が出ないことを心から祈っている」「パニックにならずすべき対応をしている日本人の態度と助け合いの精神に感心する」「日本で酷い惨事が起こったことをとても悲しく思う。失われた命を取り戻すことはできないけれど、今ある命はきっと助かる。日本人は強く、勤勉で、頭のいい国民だから。最善の方法で対応すると信じている」震災発生後、デンマークの人びとのメッセージから、日本は世界の信頼を得ている国なのだということを実感させられました。

日本を訪問したことがない多くのデンマーク人は、日本に対して「いい意味でエキゾティックな国」というイメージをもっています。寿司や日本庭園などは、今デンマークでとてもホットです。また、デンマークには日本車を所有している人もたくさんいます。そういう意味で、遠く離れた日本に親近感をもち、今回の震災を身近に感じて心を痛めている人は多いです。また、「日本人は勤勉」「日本はハイテクが進んでいる」というイメージももっているので、「日本だから原発問題が最悪の事態を招くことはないだろう」「日本だから早く復旧するはずだ」と、どこかで信じているところがあります。

そのなかで、さまざまな支援活動も繰り広げられています。コペンハーゲンでは、デンマークやヨーロッパで活躍している日本人音楽家によるチャリティーコンサートが行われています。また、国連主催のケーキイベント(一般の参加者が自分で焼いたケーキを会場に持参し、来場者が美味しかったケーキに投票するイベント)では入場料が義援金に充てられました。日本応援のメッセージを伝えるケーキも数多く並んだのが印象的でした。企業レベルでも、日本応援の特別商品を販売し、その売上を義援金として日本赤十字社に送るなどの活動が行われています。さらにミクロレベルでは、デンマークの人気番組で、出演者が帽子に日本の国旗をつけて登場するなどして、個人的に日本応援の想いを発信しています。北欧の小さな国デンマークで、人びとは日本の状況の一進一退を見守り、自分にできる支援をしています。このような支援が、少しでも日本の復興につながることを心より願っています。

針貝有佳(はりかい ゆか)/プロフィール
東京都・高円寺出身のフリーライター。ウェブや雑誌から、さまざまなデンマーク情報を発信中。地元の高円寺を愛しながら「世界一幸せな国デンマーク」に魅了され、デンマークの労働市場政策について研究し、修士号を取得。デンマーク人の夫と結婚し、2009年12月からコペンハーゲンに住んでいる。地球の歩き方コペンハーゲン特派員ブログ担当。最近では、3月創刊の雑誌グローバルワークのデンマーク特集を取材・執筆した。