第6回 若いときにはいろんなことに挑戦して

16歳の息子がカーペントリー・アプレンティスシップ(Carpentry Apprenticeship)プログラムに入りたいと言い出した。息子の通っている学校では、11年生と12年生を対象にした実習が組み込まれていて、職業訓練を受けることができるアプレンティスシップ・プログラムが数種類ある。カーペントリーもその一つだ。

カナダの一部の高校には、アプレンティスシップ・プログラムなるものがあるという知識はあったが、本人は一応、大学進学を目指しているようなことを言っていた。カーペントリーということは大工仕事に関するものだ。日本の“技術”に似た科目、テック・エド(Technical Educationの略)が気に入っていることは知っていたが、大工になりたいというのは初耳なので驚いた。

「あんた、大工になりたかったの?」

「大工になりたいわけじゃないけど、大工仕事が好きだし、面白そうだから、取ってみたいと思って」

息子の説明では、11年生の前期に数学や英語をはじめとする教養科目のみを履修して、後期に体育などの選択科目の代わりにアプレンティスシップを取るらしい(息子の学校は前・後期制で、教科を1年かけて学ぶのではなく、前期と後期で異なる科目を学ぶ)。そのうち1ヶ月間は、高校を離れて、州立の高等教育機関・ポリテクニックのBCIT(通常、ブリティッシュコロンビア工科大学と訳される)に通うという。

説明会があるというので出かけてみた。コーディネーターの話では、州の教育省の補助金を受けたプログラムで、本来なら高校を卒業して学ぶプログラムを高校在学中に履修できるという。カナダの公立校は高校卒業までは、課外授業などを除くと、特に学費は必要ない。しかし、このプログラムは材料費や教科書代、BCITでの授業などで約500ドル必要だ。ただし、同じ授業を、高校を卒業して受講すると、3000ドル近くかかるそうだ。

「3000ドルのコースが500ドルなら、安いのだろうけど、大工になりたいわけでもないのなら、少々、お高くないかしら……」

唸りながら聞いていると、他にも魅力があるという。落第せずに履修を終えると、大工の資格が取れて、大工仕事のアルバイトをするにしても、30ドルの時給が保証される。半年学んだからといって、大きな仕事ができるようになるわけではないが、基本は身に就くので、将来、ちょっとした家の修理も自分でできる。資格は一生ものの上に、カナダのほかの州でも通用する(資格の中には、取得した州のみで、他州で使うには、新たに単位を必要とするものもある)など。

私はアプレンティスシップ・プログラムは職業訓練プログラムで、特定の職業を目指す生徒が履修するのだと思っていた。確かに、その職に就く生徒もいる。しかし、“関心のあるスキルを高める”という目的でプログラムを取るケースも珍しくないそうだ。

とりあえずは興味のあることはさせてあげることにした。上の息子は16歳。あと2年で高校卒業だ。この1~2年、時々進路について、本人の考えを聞いている。やりたい仕事を見つけて欲しいというのが、母としては一番の思いだ。若いうちにトライ&エラーでいいので、いろいろ挑戦して欲しい。

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今年の春は天気が悪く、なかなか暖かくならなかったが、6月になってやっと晴天の日が増えてきた。バーベキューシーズン到来だ。『ミート&ポテト(肉とジャガイモ)』派の夫もお気に入りのサーモンメニュー。アジア料理とのフュージョンメニューが人気のバンクーバーならではの味噌を使った料理。バーベキューで焼くが、オーブンでもOK。

レシピ

ミソ・サーモン(サーモンの味噌焼き)


材料

  • サーモン680g
  • 味噌 1/2C
  • マヨネーズ 1/2C
  • 酒 1/4C
  • ごま油 小さじ1
  • ショウガ1かけ(おろしておく)
  • オレンジジュース 小さじ1
  • 塩コショウ 適宜
  • チャイブ 適宜

1カップ=250cc

1.      サーモンは塩コショウをしておく。

2.      オーブンを200度に温めておく。

3.      ボールに味噌などの調味料を入れてよく混ぜる。

4.      サーモンの上に載せる。

5.      15分間、焼く。

6.      グリルに設定を変えて、さらに5分。

7.      仕上げに刻んだチャイブを散らす


≪ふじき・みきこ≫
バンクーバー在住のフリーランスライター。ここ数週間、カナダの子どもたちから、日本の被災地の子どもたちへのエールを込めたキルトを届けるというプロジェクトに参加。キルトは女川町を皮切りに被災地を巡り、メッセージを届ける予定。