2 借りるときも出るときもしっかりチェック/ドイツ

古い建物も改装して長く使います。しっかりとした造りで天井が高く、内装は最新式というのが人気です。

ドイツではアパートを借りるとき、新聞広告で探す人が少なくありません。不動産屋を通す人ももちろんいますが、新聞広告や街中の張り紙で探す場合、家主と直接交渉になるため仲介料がかからないというメリットがあります。

賃貸契約書は市販されており、広さや家賃、条件などを書きこんで使います。礼金はなく、敷金は基本的に全額戻ってきます。敷金は銀行口座に入れます。自分の名義ですが、家主の同意がないとおろせないしくみになっており、どちらかが流用する心配がありません。定期預金にしてあるので利子もつきます。

アパートを借りるのはわりと簡単ですが、退出が大変です。通常は3ヶ月前に通告しなければならず、何十年も住んでいる人は1年前に家主に知らせなければなりません。期間以前に退出する場合、その間の家賃を払い続けるか、自分で後任者を探すことになります。

また退居のさい、入居時と同じ状態にアパートを戻すというのが原則なのですが、これがなかなかやっかいです。すなわち、壁を白くペンキで塗りなおし、壁にあけた穴を埋め、色あせたものはとりかえること。家主は住居の質が落ちていないか、事細かにチェックします。家主が納得しなければ、敷金が戻ってこなかったり、追加料金を請求されることがあります。ですから入居のさい、家主と一緒にアパートを隅々までチェックし、すでにある傷や不具合はすべて契約書に書きとめておきます。退居トラブルが多いため、専門の相談所や団体もあるくらいです。

ちなみにドイツでは、日曜祭日の終日、平日午後1時から3時までと夜10時から朝6時までが「静寂の時間」と法律で決められています。私のアパートでは「静寂の時間は、洗濯機と掃除機は使用禁止」と賃貸契約書に明記されています。友人宅では夜10時以降にシャワーをすると、下の人が棒でどんどん突いてくるとか。地域によってはあまり気にしない人もいるようですが、この法律をたてに、あまりうるさいときは警察を呼ぶ人もいるほど。法律遵守で秩序を保とうとするのがドイツ的だなあと感じています。

田口理穂/プロフィール
ドイツ生活15年。このほど、「地球の歩き方」のドイツ・ハノーファー特派員ブログを始めました。http://tokuhain.arukikata.co.jp/hannover/
ドイツのいいところを探して歩きまわっています。