171号/増本昌子

先月、バングラデシュとインドを訪れました。日中の気温が摂氏46度を超えるうえに、どちらの国でも計画停電が実行されていると聞かされ、暑さに弱い私にはどうなることやら想像もできず不安だったのですが、自家発電装置が普及していたおかげで意外と過ごしやすい1ヶ月でした。

核保有国であるインドは別として、貧しい国のひとつといわれるバングラデシュにも電力確保対策が行き届いていました。公共施設や店舗、工場などは大規模な自家発電装置を備えていますが、一般家庭にも蓄電池や圧縮天然ガスを使用する小型発電機が普及しています。計画停電の時間になると自動的に蓄電池へと電源が切り替わり、必要最小限の電気系統に配電されるようになっています。停電時に使用する箇所は各家庭が選択しますから、蓄電池だけで賄い切れない場合は発電機も併用します。停電は一日に何回もあるのですが、この自家発電装置のお陰でエアコンもテレビも途切れること無く、生活に大きな支障は感じられませんでした。

日本でも一般家庭を対象に、停電時に自家発電機を一時的に使用する計画がありますが、電力会社の送電経路への接続認可が遅れているようです。先週、内外からの反対表明にもかかわらず、日本政府は大飯原発の再稼動を決定しました。電力不足を補う為に、自然エネルギーの開発はもちろんですが、電力自給方法や計画停電などの節電対応策にも取り組んで欲しいと思います。

(カナダ・モントリオール在住 増本昌子)