172号/林秀代

日本の子どもたちの夏休みは忙しい。たくさんの宿題を抱え、中高生はクラブ活動、小学生から塾の夏期講習に通う子もいる。学校の補習授業で、夏休みが実質数週間しかないという話も聞く。家族旅行に行くには、最近は大人よりも子どもたちのスケジュール調整の方が難しいらしい。

今月、ドイツのたきゆきさんが書いた、宿題のない子どもたちの夏休みをどう過ごすかは、北米やヨーロッパに住む編集部員の間の共通の悩みでもあり話題になった。家族旅行に行ったり、サマーキャンプに参加しても、まだ夏休みは続く。長い休みの間、子どもたちは時には退屈さと向き合い、自分でやりたいことを考えつつ、のんびり夏を過ごしている。日本の子どもたちからみれば羨ましい悩みでもある。

最近twitter(ツイッター)で、忙しすぎる子どもたちの夏休みを変えられないかというツイートをみた。夏には長期のボランティアやキャンプ、自然観測、国内外での交流プログラムなど多様な体験ができるのに、クラブ活動や補習などで拘束される日が多いため、参加を見送ったり、情報すらあまり知らなかったりするという。

またある人は、学生時代の夏休みの貴重さをツイートしていた。日本で社会人になれば、2週間以上の夏休みなどなかなか取れるものではない。自分の意志が強く出てくる中学生から大学4年まで順調に学生生活を送ったら、夏休みは10回ある、いや、10回しかない。その間、受験勉強に明け暮れる夏もあるかもしれない。夏休みに、普段やりたいがなかなかできないことや、自分の視野を広げられることを考えて誰かに話し、挑戦してみてはどうだろう。

インターナショナルスクールで学んでいる息子は、日本で6月末より宿題のない夏休みを送っている。普段の夜遅くまで宿題に追われ、朝早くから通学する忙しい日々から解放されて、夏のプロジェクトを私に話してくれた。12歳の少年は、不得意科目の克服を考えるわけもなく、自転車で遠くへ行く小さな冒険がしたいらしい。まだ親のサポートも多少は必要なので、後ろから応援してあげたい。そんな私はのん気すぎるのだろうか。

(日本・神戸在住 林 秀代)