195号/原田慶子

南半球のペルーに冬がやってきた。日本人は自然のちょっとした変化にも四季の移ろいを感じるが、ペルー人はもっと単純だ。この国では、二至二分で季節が変わる。

暑かろうが寒かろうがそんなことはお構いなく、冬は毎年6月21日の夏至に始まり、9月の春分直前で終わるのだ。9月のリマなどまだ寒くて仕方がないが、「春だねぇ」などとポンチョを羽織りながらうそぶくことになる。

今年はエルニーニョの影響か、6月になってもリマでは比較的暖かい日が続いている。時折、真夏のような強い陽射しが照り付ける日もあるほどだ。そのせいだろうか、今年はアリがやたらと元気。つい数日前も「あれ、部屋にアリがいる……」と思ったら、あれよあれよという間に増えてしまった。どうやら外からやってきたアリが室内の観葉植物に巣を作ったらしく、どんなに部屋を掃除しても次から次へと湧いてくる。虫はできるだけ殺したくないが、アリだけは我慢ならない。黒ゴマかと思ったらアリだったなんて、ぞっとしない話だ。

こうなったらホウ酸の出番だ。人間も死んでしまいそうな臭いのする市販の殺虫剤は使いたくないし、大切なクワズイモが枯れては大変。そこで、ホウ酸と砂糖を混ぜたシロップを鉢とベランダに置いた。最初は警戒していたアリたちも、甘い味に誘われてシロップに群がっている。数日もすれば、黒ゴマ問題も無事解決されるだろう。ホウ酸は取り扱いに注意が必要だが、なんといっても簡単なのがいい。これから夏になる北半球の方々にも、ぜひお勧めしたい方法である。

(ペルー・リマ在住 原田慶子)