第13回 安全なキャリア

辛いサンバルをかけて食べるジャカルタの吉野家の牛丼

日帰りでジャカルタに行ってきた。日付が変わってすぐに羽田空港を発てば、その日が終わるまでに戻ってこられる。これまではシンガポール航空でインドネシアに行っていたが、経由地シンガポールでの待ち時間が長く、日帰りできなかった。日帰りジャカルタを可能にしたのはインドネシア航空に乗るようになったからだ。

ガルーダ・インドネシアと言えば、EU乗り入れ禁止の悪名高い航空会社であった。国の監督が不十分だったり、機体整備が不十分だったり、セキュリティが不十分だったり、あるいはそのすべてが不十分だったりするから、乗り入れ禁止なのである。

しかし、ガルーダ航空は2009年にEU乗り入れ禁止が解除された。そして、今年3月にスカイチームに加盟、6月に羽田からジャカルタへの直行便が就航した。機体は新しく、サービスもよい。機内食はおいしいし、機内上映も豊富。安いからという理由でついうっかり乗ってしまった20数年前とは大違いだった。インドネシア経済は好調なのである。

昨年、ロサンゼルスで搭乗予定だったシンガポール航空の便が欠航になった。振り替えできるのは、シンガポール航空と同じスターアライアンスに加盟している航空会社である。全日空便に殺到している日本人乗客を尻目に、迷わずアシアナ航空に振り替えてもらった。機内は空いていて快適そのものだった。なぜなら、アシアナ航空はその2ヶ月前にサンフランシスコ空港で着陸に失敗し、多数の死傷者を出したばかりだったからだ。

立て続けに事故を起こした航空会社は未だかつてない。そんなことになれば、その会社は確実に終わる。だから、事故を起こした直後の航空会社のフライトほど安全なものはない。しかも、誰も乗りたがらないので空いている。

墜落してしまえば、元も子もない。荷物を届けるどころではない。ロストバゲージを防ぐには、なるべく直行便に乗るのが鉄則ではあるが、まずは安全な航空会社に乗ることがその大前提である。

片岡恭子(かたおか・きょうこ)/プロフィール
1968年京都府生まれ。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒。同大文学研究科修士課程修了。同大図書館司書として勤めた後、スペインのコンプルテンセ大学に留学。中南米を3年に渡って放浪。ベネズエラで不法労働中、民放テレビ番組をコーディネート。帰国後、NHKラジオ番組にカリスマバックパッカーとして出演。下川裕治氏が編集長を務める旅行誌に連載。蔵前仁一氏が主宰する『旅行人』に寄稿。新宿ネイキッドロフトで主催する旅イベント「旅人の夜」が7年目を迎える。ロックバンド、神聖かまってちゃんの大ファン。2014年現在、46カ国を歴訪。処女作『棄国子女-転がる石という生き方』(春秋社)絶賛発売中!

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