206号/スプリスガルト友美

我が家の愛すべきコリー犬チラが病気になった。復活祭(4月5日)を目前にした3月末のことだ。私が台所に行くと必ず後からついてきて、「何かちょーだい」と目で語るほどの食いしん坊が、お皿にエサを入れても見向きもせず、ぐったり横たわっている。出血も見られ、さすがに心配になった私達は翌日かかりつけの獣医さんに診てもらうことにした。

この辺りでコリーは珍しいのと、飼い主のひとりである私がこれまた珍しいアジア人であることから、2人いる獣医さんのどちらも顔なじみで、チラのことを大変親身になって診察してくださった。その結果、高齢のメス犬に多いという子宮蓄膿症の疑いがあると診断された。食欲がなくなるのもこの病気に特徴的だという。1週間何も食べないこともあるといわれたものの、毎日注射に通っても家では相変わらず寝ているだけ。食べないからさらに体が弱るようで、階段の昇り降りもできなくなってしまった。

“安楽死”という言葉がよぎり、今年の復活祭はもう一緒に過ごせないのではないかと思ったが、獣医さんの「そこまで悪くない」という言葉を信じ、治療を進めた甲斐あって、まさに復活祭を境に“復活”し、今ではお気に入りのボールを持ってきて「遊んで」とせがんだり、食べ物をもらいにまた台所まで来るようになるまでに回復した。

獣医さんのひとりからは今頃になって「実はもうダメかと思っていたけど、ここまで元気になって本当によかった」などといわれ、やはり今回は相当に危なかったということを思い知らされた。

いつまでも元気でいてくれると思っていても、1か月後にはもう14歳になる。それでも我が家のマスコットとして、また娘の“よきお姉さん”として、できるだけ長くそばにいて欲しいと願わずにはいられない。

(ポーランド・ポズナン在住 スプリスガルト友美)