第14回 チーパーパオ -豬扒包- マカオ・香港
チーパーパオ -豬扒包- マカオ・香港

マカオのB級グルメの代表格に、マカオ風バーガーと呼ばれるものがある。以前の連載「旅する胃袋」でも紹介した、私の大好物のひとつ。ソフトフランスにポークチョップをはさんだだけの、なんてことはない軽食なのだが、これがホントにおいしい。

しかし、こんなにシンプルでおいしいにもかかわらず、そういえば日本では見かけない。そもそもマカオ料理の店がいくつもあるわけではないから、当然といえば当然なのかもしれないが。あ、そういえば、以前の連載で紹介した世界各地のおいしいものを日本で食べられる店は紹介していないなぁ……と思っていた矢先に、出会ってしまったのだ。香港風カフェに。

豬扒包はさすがにマカオ名物だけあって、ポルトガルの料理がベースになっているらしい。しかし、今やすっかりマカオの料理として定番となり、町のあちらこちらで見かけるばかりでなく、香港でも茶餐廳(チャーチャンティン=広東語)と呼ばれる昔ながらの喫茶店やイマドキなカフェでも、メニューに並ぶ人気の軽食である。

そして、出会ってしまった香港風カフェの看板メニューがこの豬扒包だったのだ! もちろん、迷うことなく入ってみた。写真の通り、マカオや香港のローカルのソレよりは格段にオシャレだが、まぎれもなく、現地では子豚のパンと親しまれているあのバーガーである。店のオーナーはサーブするときに「これはもともとマカオの料理なんですよ」とニッコリ。知ってる、知ってる! だから入ってきたのよ~! と思いつつ、こちらもニッコリ笑ってパクリ。

味も盛りも現地よりやや上品だけど、やっぱりあの味! まずはシングルを頼んでみたので、小腹がすいたときにちょうどいいくらいのボリュームだけど、肉はダブルにもできるらしい。お供としての私のチョイスは、香港ならではの濃~~いミルクティー。このお茶は、もともとは茶こし代わりにストッキングを使って、細かい茶葉の紅茶を濃く煮だしたところからストッキングティーとの異名を持つ。そうそう、この濃さなのよね……と、ますます香港気分に浸れる

代官山という場所柄、しゃれた店構えだが、ソファに置かれた香港の街並みをプリントしたクッションや、店内に流れる広東語のポップスがいい感じ。いかにもアジアンなインテリアの店より、むしろ現地でジモティの女の子たちに人気のカフェといった雰囲気。ちょっと奥まったところにあってわかりづらいが、豬扒包のおいしそうな写真いっぱいの看板が出ているのが目印。

代官山のステキな本屋さんに向かう前にちょっと寄り道して、香港でも人気のマカオ風バーガー“豬扒包”をぜひお試しあれ。

◆condensed. -代官山コンデンスト-
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凛 福子(りん ふくこ)/プロフィール
東京在住。日本とアジアを中心に世界各地を、旅モノと食べモノをメインテーマに飛び回る日々。9月に出張で久々にベトナム・ホーチミンに行き、ちょっと落ち着いていたアジア熱が再燃。あー、コレ書いてたらマカオにもまた行きたくなってきた!