214号/スプリスガルト友美

夫の仕事の都合で、昨年10月から半年間家族そろって日本に住むことになった。結婚後ポーランドに住み始めて以来、日本に長期滞在するのはこれで2度目。前回はもう8年も前のことで、まだ夫婦二人きりだった。今回は娘が加わり、一味違った滞在になっている。

娘は9月に入学したばかりの小学1年生。ポーランドで1か月学校に通っただけで、既に4月から入学している日本の同学年の子どもたちと一緒に勉強することに。言葉の違いもあり、小さな体で大変なプレッシャーを感じていただろうと思う。それでも、係活動や給食、掃除、なわとびや跳び箱など、ポーランドの小学校とは違った経験を重ねながら、友達もたくさんでき、もうすっかり日本の小学校生活に溶け込んでいるようだ。

学校で娘が特に気に入ったものがある。それは「図書」の時間。週一度クラスのみんなで図書室へ行き、各自2冊まで借りることができるという。転入して初めて借りてきた本は『くった、のんだ、わらった』という絵本。ポーランドの昔話を題材にしたもので、ポーランドでよく読んであげていた本だ。見慣れた本を見つけて嬉しかったのかもしれない。最近では借りてきた本を自分で読むようになり、日本語の成長ぶりに驚いている。

ようやく馴染んできたところへ、3月のポーランドへの帰国が近づいている。これからずっと通うことになる小学校へ戻るので、今度はポーランド語の文字を練習させる日々だ。

2つの国を背負って生まれてきた娘に、無理をさせてしまっていると思うこともある。この『地球はとっても丸い』の執筆者、読者の中にもそういう方がいるのではないだろうか。でもやはり、父の国、母の国、両方の国の文化を大切にしながら成長して欲しいと願わずにはいられない。そして今回日本で体験したことをポーランドでも忘れないでもらえればと思う。

(ポーランド・ポズナン在住 スプリスガルト友美)