218号/西川桂子

5月4日にバンクーバーで行われた、吉永小百合さんと二宮和也さんの『母と暮らせば』の上映会に取材で訪れた。3年前に長崎の原爆で亡くなった息子が、幽霊になって吉永小百合さん扮する母親のもとに現れるというあらすじだ。

吉永小百合さんの母親はクリスチャンという設定。地球丸連載中の『さるいてみんね長崎』で読んだ、長崎のクリスチャンの人たちの歴史に思いを馳せた。原爆投下後3年ということで、生々しい悲惨さは描かれていないものの、原爆の恐ろしさは生存者たちのことばの端々に現れていた。

上映会はブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)での吉永小百合さんの原爆詩の朗読会に伴い、一日限定で開催されたものだ。上映会にも、朗読会同様、UBCの学生が参加していた。映画の感想を学生に聞いたところ、原爆で即死した息子というところを”died(死んだ)”ではなく、”Vanished(消えてしまった)”と表現したのが、印象的だった。オバマ大統領が27日、現職大統領として初めて、被爆地、広島を訪れる。

(カナダ・バンクーバー 西川桂子)