226号/西川桂子

カナダで暮らしていて「つまらないな」と思うのは、盛り上がりに欠けるお正月だ。家族、友人が集まり、プレゼント交換、ごちそうを食べ続けるクリスマス休暇で、精神的にも胃袋的にも疲れたころに新年を迎える。大晦日、ニューイヤーイブには深夜にかけてパーティが開かれることが多く、なかなか家族でおごそかに元旦の朝を迎えるという雰囲気にはならない。

それでも、カナダで手に入る材料で家族が食べてくれるような「お節」もどきを作り、年頭の誓いを考えたりする。去年は一日一新。毎日、何か一つ新しいことをするというものだ。勧めてくれた友人曰く、大きな「一新」でなくてもよく、いつもと違う道を通ってみるなんていうのも良いということだったので、お菓子をはじめ食料品は、普段から気になる新製品は購入しておいて、夕方、「今日は何も新しいことをしていない」と思ったら、そちらを食べたり、新しいレシピに挑戦したりして、意外に簡単に実行できた。

歳を取るほど、新しいものに挑戦することがなくなり、日々に新鮮味がなくなりがちだが、おかげで、一年が楽しく過ぎたように思う。これからも、できるだけこの一日一新を続けたい。加えて、今年挑戦しようと思っているのが、「一日一捨」だ。家の中が片付くだけでなく、必要なものを見極める力がつくという。歯磨き粉などの消耗品を入れてもいいということだったので、こちらも気負わず続けていきたい。


(カナダ・バンクーバー 西川桂子)