第6回 自分に適した勉強方法とは

学生時代、校内で開催される単発のワークショップに出来るだけ参加した。“あなたに適した勉強法を見つける”というような題名の講座に出た。私の勉強法を見つめ直し、効率よくするきっかけになった。

講師によれば、大きく分けると4種類の勉強方法がある。それは視覚(visual)、聴覚(auditory)、言語 (linguistic)、運動 (kinesthetic)だという。テストを受けると、参加者は、ほぼ均等に4種類のタイプに分かれた。

私は視覚タイプだと判明。納得できる気がした。

講師は説明する。視覚タイプの人は、写真、図、イラストを見て、目から勉強するのが効果的。聴覚の人は、ひたすら聞いて学ぶ。言語の人は言葉を使って学ぶ。そのため、本をたくさん読んで学ぶのがいい。最後の運動の人は、身体を使って勉強する。たとえば、手で何回も書いて身体に覚えさせるというのだった。

身体で勉強する、という概念は新鮮だった。まるで体育会系のようではないか。聴覚型というのも私には驚きだった。講師は言った。

「ただ聞いただけで、すーっと頭に入って学習できる人もいるんですよ」

私は関心してしまった。

「聞くだけで勉強できるなんて、私には無理です。うらやましいです」

しかも、第二言語である英語の講義を聞くだけで理解するというのは困難だ。

このワークショップ以来、私は自分の視覚型を最大限に活かし、さらに他の方法も取り入れて勉強するようにした。

解剖生理学の教科書のイラストをコピーし、台所に貼った。料理をしながら人体のイラストを眺め、骨や筋肉の名前を覚えた。講義を録音したCDを持ち歩き、運転中には必ず聞くようにした。時間は無駄にしなかった。

裏紙をためておき、人体の名称は何度も書いて手に覚えさせた。時間があるときは教科書を必死で読んだ。こうして視覚型を中心にし、四種類の勉強法を全て駆使した。

結局、解剖生理学のクラスはAを取り、一学期間先生の手伝いをし、少額ながら奨学金も頂いてしまった。このワークショップには感謝している。

伊藤葉子(いとうようこ)/プロフィール
ロサンゼルス在住ライター兼翻訳者。米国登録脳神経外科術中モニタリング技師、米国登録臨床検査技師(脳波と誘発電位)。訳書に『免疫バイブル』(WAVE出版)がある。