第1回  いくつになっても、恋愛はオンナをキレイにしてくれる

長く夫とは別居状態を続けているメキシコ人女性のGさん(50代前半)。別居当初は、激しく泣き、夫への未練タラタラで、会えば将来への不安や愚痴ばかりを聞かされた。精神科の先生にもお世話になり精神安定剤が欠かせない彼女だった。がしかし、時間とは気持ちを穏やかにさせる特効薬でもあり、「子はかすがい」という言葉通り、子を中心に次第に夫との距離も縮まり、ここ数年はとても安定した別居夫婦となりつつあった。

ところがある日、ワイン片手に満面の笑みの彼女から、10歳年下のメキシコ人男性から猛烈な勢いでアタックされているという話を聞かされたのだ。今どきらしく、朝昼晩欠かさないスマホでの情熱的な甘いメッセージでやられてしまったようである。

世界でもトップランキングに位置するほど、男女の”いとなみ”を好むメキシコ人達。火がついたらもう最後。千人切り武勇伝を豪語する年下の彼、「え〜ヤバイんじゃん?」「今さらこの歳で病気になったら大変だよ」「遊ばれるよ」などと彼女を気遣う言葉をかける日本人の私に対して、「気がすむまで、利用してやれ!」「食っちまえ」「すればするほど、オンナは美しくなる」とメキシコ人ママ達は、性に関しては超ポジティブな発想、見解をお持ちのようである。

やっぱりメキシコ人のGさんも、「そーなのよ、もう凄くって、この前なんか7時間やりっぱなし」と明け透けにさらっと返答、間髪入れず、「何回いったの?」なんて、聞くメキシコ人ママ。性に関しては、オブラートが欠かせないおばちゃんの私にとっては会話が刺激的で、ビックリ。ある日も、Gさんが悩みごとがあるというので聞いてみると、その彼から「Gさんともう一人別の40代の女性と3人で交わりたい」と熱望されているという。世間でいう3Pである。

「日本人はミステリアスな性思考で、学校で男性につくす、”いとなみ”の授業があるんでしょ、あなたに聞けば何かいいアドバイスがもらえると思って」と超難題をふっかけられ、頭が真っ白になった私。彼女曰く、大学時代の男友達から日本女性はとにかく男性に尽くす人種であり、日本の学校では性教育の授業がきちんと行われていると聞いていたというのだ。性教育に関しては、かなり間違った情報を持っているものだと深く驚いた。そして私が彼女にお答えできるアドバイスなんてものは、もちろんない。

日本では、ある新聞の調査によると50代のセックスレス夫婦が50%に近いといわれている昨今。それなのに未だ彼らが想像するゲイシャ文化が現代生活に浸透しているのかと思っていることに、改めてビックリした。ちなみにGさんはとても教養がある方でもある。その後、3P問題はどうなったか聞くことができずに日が経ち、そして、案の定私が想像するメキシコ人男性らしく、彼が浮気をしたなど、その度彼女はヒステリックに訴える日もあった。それでも、「Mi Amor/私の愛する人に変わりはない」などとよくわからないことをいう。そしてGさんの肌艶は色気を増し、どんどんと美しくなっていくのである。

それからかれこれ2年近く続いていた両者に、突然別れの日が来た。彼が他のオンナと住み始めたというではないか。それでも彼は今なお、Gさんも強烈に愛しているとラブメッセージをかかさないという。さすがの彼女も、今回ばかりは許せないと断固拒否。やはり、永遠の愛はないのだろうか。

すっかり懲りたかと思いきや、年下の彼と甘いワクワクする恋愛に味をしめたGさんは、この経験を糧に「次なる出会いはSNSで!」と期待を膨らませている。「だって、オトコが煙たがる下のヘアの永久脱毛始めちゃって、しかも全額前払い。あのピリピリする痛い思いをしてるんだから、あと数年はオトコを楽しまなきゃ」とのこと。がんばれ!

山本真希子/プロフィール
Makiko Yamamoto de Mier y Teran 

1993年から在墨  メディアコーディネーター・ライター・通訳翻訳
メキシコに住め始め25年以上が経過。カトリック信者が国全体の約90パーセントを占め、性に関してもタブーという国民のはずなのだが、やっぱりラテン民族である激しい気性の彼らが起こす恋愛事情は「ビックリ」そして「面白い」「明るい」そんな彼らの日常にふれてみた。