第18回 大家族で食べる日曜の昼食「トオナイ」

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連載:『サモアの想いで』
文・写真:椰子ノ木やほい(ミシガン州・アメリカ合衆国)

サモアでは日曜の礼拝後の昼食をトオナイと呼び、普段の食事より少し豪華なご馳走を味わう。もちろん、それぞれの家庭ができる範囲での“ご馳走”だが、田舎では、サモア伝統料理のウム(石蒸し焼き料理)を楽しむところも多い。

我が家がサモアに暮らした4年間は、同じ敷地内に暮らす大家が、私たち家族をいつもトオナイに招待してくれた。クリスチャンではない我が家は、教会には行かなかったが、それでも、毎週日曜、家族の一員のように持て成してくれ、大家の家族、親戚一同といっしょにウム料理を楽しんだものだ。せめてもの心尽くしで、私も毎回必ず手料理を持参した。

あぐらをかいて床にどっしりと座り、そこにいるみんなとざっくばらんな雑談をしながら、近況を語り合ったり、冗談に大笑いしたりとご馳走もさることながら楽しいひとときを過した。

それぞれが、それぞれの予定を優先するのが当たり前という社会で暮らす今、「日曜には大家族がいっしょに食事をするもの」といったあちらの常識が恋しくなる。サモアの人々が、「家族の絆を高めるため」という目的意識を持って、その伝統を守っていたとも思えないが、サモア時代のトオナイの写真を眺めながら、今となってはとても良いことだったように思えて懐かしい。

≪椰子ノ木やほい/プロフィール≫
フリーランスライター。1997年のんびりゆったり子育てとシンプル&スローライフを求めて、家族(夫・子ども4人)で南太平洋の小国サモアに移住し、4年間の南国生活を楽しむ。2001年より、アメリカ合衆国・ミシガン州在住。HP「ぼへみあんぐらふぃてぃ」、サモア在住時の暮らしを綴った電子本『フィアフィアサモア』はでしたる書房で発売中。世界各地からの子育て事情を伝える『地球で子育て! 世界のお父さん・お母さんバンザイ』 サイト運営・管理人。