2 気がつけばマルチリンガル/ノルウェー

ノルウェーの公用語はノルウェー語だが、実はノルウェー語にも2種類ある。住民の9割以上が使うブークモールとニーノシュクだ。ともに公用語で、公文書は2言語で書かれている。また、国営放送であるNRKは、最低25%の番組をニーノ...
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ノルウェーの公用語はノルウェー語だが、実はノルウェー語にも2種類ある。住民の9割以上が使うブークモールとニーノシュクだ。ともに公用語で、公文書は2言語で書かれている。また、国営放送であるNRKは、最低25%の番組をニーノシュクの音声または字幕で放送しなくてはならない。子どもたちも、学校でブークモールとニーノシュクの両方を学ぶ。

新聞の求人広告も複数言語で

これに加え、ノルウェー北部のサーミ人(サーメ人とも)が多く住む地域では、サーミ語(サーメ語)も公用語とされている。また、フィンランド人を祖先に持つ人達はクヴェン人と呼ばれ、フィンランド語から派生したクヴェン語を使っている。移民も多く、家庭ではそれぞれの母語を使用している家族も多い。

このように、複数言語を使用する環境が当たり前のノルウェーでは、英語教育は小学校から始まる。ノルウェー語と英語は言語的に近いうえ、小さい頃からテレビなどを通じて英語を耳にする機会が多いため、高校を卒業する頃になれば多くの人が日常生活レベルの英語を理解するようになる。さらに中学校からは、第三言語(ドイツ語、フランス語など)の学習も始まる。学習塾や語学学校といったものはほぼ存在しないが、こうやって多言語を身につけることができる環境にあるノルウェーの子どもたちを非常にうらやましく思うのだ。

御供理恵(みともりえ)/プロフィール
オランダ、ルーマニア、韓国と渡り歩き、2010年よりノルウェー在住。行く先々で現地語獲得を夢見るも、そうは問屋が卸さず。4歳の娘はこちらに来て数ヶ月でノルウェー語優勢に。かろうじて日本語のレベルは保てているが、韓国語はするりと抜け落ち、英語は「分かるけど話せないの」だそう。気を抜くと、ノルウェー語と英語がちゃんぽんになりやすい今日この頃、北極圏の地でライター、翻訳家、ツアーガイド、日本語教師として奔走中。http://www.arcticrainbow.com/