第5回 チリでは水力発電ダム建設に反対するデモが!   

最近、チリではアイセン水力発電ダムの建設問題が話題になり大規模なダム反対デモが続いている。そのデモに関し、政府は当初、実施の許可を出さなかった。デモの最後にいつも警察との衝突が起こり、公共施設、商店などに大被害が出るから...
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最近、チリではアイセン水力発電ダムの建設問題が話題になり大規模なダム反対デモが続いている。そのデモに関し、政府は当初、実施の許可を出さなかった。デモの最後にいつも警察との衝突が起こり、公共施設、商店などに大被害が出るからだ。一般市民の声を聞かないのかとする批判を受け最終的に政府は譲歩し、デモを許可している。

私の個人的見解は水力発電のほうが火力や原子力より有効(自然に友好)だと思うが、ダム建設の立地に関してはどうしてもアイセンのその場所しかないということでもない。つまり他の場所でもよいが、どの計画でも環境グループからの反対が予想されることが問題である。

現在計画中の発電所(火力・水力など)は40もあるが、それらの計画のすべてが中止になったら、10年後に影響が出てくるのは免れないだろう。

チリでの1メガワットあたりの発電コストは今年は180ドルかかり、これは昨年より68%もアップとか。水不足から一番コストの安い水力発電による電力の量が減少との由。アルゼンチンは天然ガスが豊富なので発電コストはチリの7分の1くらいとか。うらやましい。そのアルゼンチンで原子力発電所が完成する。ブラジル、メキシコと並びラテンアメリカで原子力による発電を行なう三大国となる。ブラジルはアマゾンに大規模な発電ダムを建設するとのこと。アルゼンチンやブラジルには環境保護団体のデモはないのだろうか?

藤尾明憲/プロフィール
チリ在住30年を越え、「日本で生まれ育ったチリ人」になってきました。日本に留学中だった娘は、先の地震でやむを得ず帰国。残念でした。最近書き上げた小説が出版社の目にとまり8月頃に出版になります。3冊目。売れ行きによって続編も出せるとかでドキドキです。菊芋生産者組合のアドバザーの職務上、チリでは厚生省や文部省と連絡を取っていますが、もし、日本の官庁なら「肩書きのない外国人からのメール」を真剣に扱ってくれないでしょうね。