164号/たきゆき

10月最後の週末にヨーロッパではサマータイムが終了した。ドイツ暮らしも10年を超え、1年に2回(3月と10月)のこの「イベント」にもだんだん慣れてきたが、そのたびごとに家中の時計を(それから愛車の時計も!)1時間早めたり...
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10月最後の週末にヨーロッパではサマータイムが終了した。ドイツ暮らしも10年を超え、1年に2回(3月と10月)のこの「イベント」にもだんだん慣れてきたが、そのたびごとに家中の時計を(それから愛車の時計も!)1時間早めたり、遅らせたりするのはひと騒動だ。最近は子どもたちも手伝ってくれるようになったが、後で見てみたら進めるはずの時計の針を反対に回してしまい、おかしな時間に鳴り出した目覚まし時計にたたき起こされるというようなハプニングもある。

体内時計は簡単に針を進めたりできないから、サマータイム終了から1週間くらいは、簡単な時差ぼけ状態になる。それまで午前6時に起きていたリズムは急に変わってくれるはずもなく、5時には自然に目が覚めてしまう。これは我が家だけの現象ではないようで、知人の幾人かは、フレックスタイムをうまく利用し、夏の間より1時間早く出社して1時間早く帰宅している。生活のリズムをあまり変えたくないらしい。子どもたちも当分の間は、夕ご飯どきに大あくびをしている。

個人的意見ながら、こんな面倒くさいことを誰が考え出したのか、と興味がわいて調べてみたら、かのフランクリンが提唱したとか、採用されたのはドイツが初とか、面白い発見が次々にあった。でも日本では再三協議されるものの実際に導入された例はないだろう、と高をくくっていたら、驚いたことに戦後、占領統治の時代に採用された時期があったそうだ。そこまで考えて、ふと気が付いた。日本との時差が8時間になったことを、日本の家族そして客先に知らせなければ。たかが1時間の差。でもそのせいで「やらなきゃいけないこと」は本当にいろいろあるのだ。

(たき ゆき ドイツ・キール近郊在住)