第2回 ショットブッラル-köttbullar- スウェーデン

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ショットブッラル-köttbullar- スウェーデン

メニュー名だけではどんな料理かピンとこないこの「ショットブッラル(köttbullar)」、実はスウェーデン風のミートボールである。「あぁ、それなら知ってる!」というみなさん、日本国内にも店舗を増やしつつある、スウェーデンの大手家具インテリアショップのダイニングで見かけたのでは(笑)? そう、人気のショップが看板メニューにするほど、スウェーデンではポピュラーなソウルフード。日々の食卓はもちろん、お正月のメニューとしてもおなじみの味なのだ。

ただし、スウェーデン語はあまり知られてないためか、日本ではどこのお店でもメニューにはミートボールと書かれていることが多い。もちろん私もスウェーデン語はまったくわからないので受け売りだが、kött=肉、bullar=球、ころころしたもの……の複数形とのこと。日本語、英語と同様にそのまんまの名前というわけだ。

レシピは大まかにいえば、タネを作るところまではハンバーグとほぼ同じ。形作るときに小さく丸くして焼き、フライパンに残った肉汁に生クリームを加えて味を調えたソースで煮込む。細かくいえば、このような国民に広く親しまれている料理にはありがちだが、それぞれの家庭によって使う肉や材料の配分、ソースで煮込むか、添えるか、味付けになにを使うか…などが微妙に異なるようだ。

付け合せはジャガイモ。といっても、これはこの料理に限ったことではなく、ジャガイモは付け合わせの代表格であり、主食のひとつでもある。ボイル、フライ、マッシュなどさまざまなスタイルで肉や魚などメインディッシュに添えられる。

もうひとつ、このメニューにつきものなのがリンゴンベリージャム。料理にジャム? と思われるかもしれないが、西洋料理で肉料理にフルーツを合わせることは珍しくない。甘酸っぱさが重くなりがちな肉料理をさっぱりと食べやすくしてくれる。リンゴンベリーは日本ではコケモモと呼ばれる果実の一種。クランベリーに似た、甘酸っぱい赤い実だが、リンゴンベリーのほうが実が大きく、やや苦味がある。このジャムを添えてこそ「スウェーデン風」になる。

今回訪れたのは、六本木駅、六本木ヒルズにほど近い「北欧料理 リラ・ダーラナ」。北欧各国で料理を学んだオーナーシェフが開いたレストランで、最初にオープンした西荻窪からこの地へ移転。ウッディで落ち着いた店内には、店名の由来となったダーラナ地方の手工芸品でダーラヘストと呼ばれる美しく彩色された木製の馬が飾られ、ぬくもりのある雰囲気。スウェーデンのみならず、北欧のさまざまな料理が楽しめる。日本ではまだなじみが薄いかも知れないが、素材を生かした素朴な料理は日本人の好みに合っているので、ぜひ一度味わってほしい。

最後に、スウェーデンに暮らして10年のティナさん、ぜひ現地でのショットブッラルの楽しみ方を聞かせてください。

ミートボールは冷凍食品に登場するほど身近なスウェーデンの家庭料理。クリームソースの隠し味には醤油で「うまみ」を加えるお宅も多いようです。また、つけあわせのジャガイモはソースが混ざりやすいマッシュポテトが我が家流。クリスマスディナーにも欠かせない一品で、この特別な日には近所のハンターからおすそ分けにいただいたムース(へらじか)のひき肉で作りました。野趣豊かな風味がリンゴンベリーのあまずっぱさとぴったりの味わいでした。

◆北欧料理 リラ・ダーラナ

≪福子(ふくこ)/プロフィール≫
東京在住。アジアを中心に、旅モノと食べモノをメインテーマに飛び回る日々。今回は「地球はとっても丸い」の編集メンバーでスウェーデン在住の田中ティナさんの一時帰国中、いっしょに北欧料理を食べに行ってきました。今後も編集部メンバーほか、世界各地に暮らす執筆陣のナマの現地情報も交え、日本で楽しめる世界の味の魅力をお届けします!