第3回 環境について考えるきっかけに。カーフリーデー

北ドイツのハノーバー市で先ごろ、カーフリーデーの催しが開かれました。街の中心部から車を締め出し「自転車」「持続可能な社会」「交通」など13ゾーンを設置し、12万人が訪れ大賑わいでした。

車の環境負荷についてや、車がなく...
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駐車場から車を締め出し、リラックスの場にしよう

北ドイツのハノーバー市で先ごろ、カーフリーデーの催しが開かれました。街の中心部から車を締め出し「自転車」「持続可能な社会」「交通」など13ゾーンを設置し、12万人が訪れ大賑わいでした。

車の環境負荷についてや、車がなくても路面電車や自転車で十分快適な生活ができることを知ってもらおうというもので、今年で5回目になりました。ドイツでは日本のように、毎月ノーマイカーデーを決めるのではなく、年に一度大規模な催しを開くのが一般的です。

環境保護団体や市民団体、自然エネルギー関連会社により、環境や持続可能な社会をテーマにしたスタンドが100ほど立ちました。例えば地球に負担をかけないためには、野菜中心の食生活がよいといいます。 りんごを1キロ生産するには700リットルの水が必要ですが、チーズには5000 リットル、牛肉には15万500 リットルも必要です。駐車場を緑化して人々がくつろげる場にしようという試みや、ごみ処理のしくみについての解説もありました。家の断熱工事やソーラーパネル設置、省エネ対策などさまざまなテーマについて相談もできます。

広い道路の真ん中を自転車やローラースケートで走ると、気分爽快。車椅子の人たちも前輪に小さな車輪がついたレース用車椅子に乗って、さっそうと登場しました。今年で15回目となるソーラーフェストも合わせて開かれ、高校生グループなどが自作のソーラーカーで速さを競いました。子供たちは一風変わった自転車にのったり、エコクイズに答えてプレゼントをもらったり、ハイブリッドバスを見学したりと、老若男女が楽しみながら学べるイベントとなりました。

自転車道が整備されているドイツ。最近は電気自転車がブームに

2022年の脱原発を決め、ますます気候保護や持続可能な街づくりに力を入れているドイツ。ハノーバー市は公共施設の改修を通じて毎年48000トンの二酸化炭素削減を目指し、同市が州都であるニーダーザクセン州では、2020年までに電力の9割を自然エネルギーでまかなうことを目標としています。目標達成には市民の理解が不可欠なため、このような催しを通して協力を呼びかけています。

田口理穗/プロフィール
この日は晴天で、私も一日ゆっくり楽しみました。市や州のスタンドも出ているので、情報収集にぴったりです。音楽の生演奏もあり、芝生の上でくつろいだり、地元の食材を味わったり。「省エネって、思ったより大変じゃないね」と人々が思ってくれれば成功なのでしょう。肩肘張らず楽しみながら、何か心に残るものがあればいいのだと思いました。