第4回 犬の健康管理

ペットにとっても環境が全く異なる海外生活。ペットの健康管理の大切さについては、こちらに来て一年を過ぎようとしている今、まさにしみじみと実感しているところである。

日本ではほぼ毎週小児科、耳鼻科にお世話になっていた息子は...
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ペットにとっても環境が全く異なる海外生活。ペットの健康管理の大切さについては、こちらに来て一年を過ぎようとしている今、まさにしみじみと実感しているところである。

日本ではほぼ毎週小児科、耳鼻科にお世話になっていた息子は、常夏のマレーシアにやってきてからというもの、季節の変わり目がないのがよいのか、通院回数が激減した。一方愛犬はというと、対照的に動物病院に行く回数が増えている……。日本ほど診療代が高くないのが救いだが、動物の保険はもちろんないので、この先少々不安だ。

クアラルンプールには動物病院がたくさんあり、その点では心配に及ばなかった。残念ながら、いや当然ながら、人間の総合病院のように日本語通訳がいるわけではないので、単語は事前に調べるなど、これは飼い主の頑張りどころだ。

当地で犬を飼う上で欠かせないのが愛犬家ネットワーク。

どこの病院がよいのか、当地ではどんな虫や病気に気を付けなければならないのか、愛犬家つながりの口コミ情報は重要だ。もちろん現地の人の情報も貴重だが、治療の内容、薬の強さなど、日本と比べてどうなのかが、日本人にとってはどうしても気になるところ。やはり同じ日本人の情報は有難いし、突然の一時帰国など、いざという時に助け合えるのが同じ愛犬家でもある。

幸い、犬を飼っている日本人が少ないため、連帯感が生まれやすく、また心配事も共通することが多いためか、この一年でも貴重なご縁や良好な人間関係に恵まれ、様々な場面でお世話にもなっており、出会いを作ってくれた愛犬に感謝している。

不思議なもので、日本では実家の犬とすら、うまくコミュニケーションをとれなかった愛犬も、こちらでお世話になっているお宅の犬とは親戚のように信頼した様子で連れ立っている。犬にも連帯感があるのだろうか(笑)。

さて先日、眼の異常に気付き動物病院を受診したところ、眼の専門医を紹介された。訪れてみると、そこは24時間対応の総合病院のようなところで、様々な専門医が常駐しており、当地にこんな高度な動物向け医療サービスがあるのかと驚いた。

この一年の通院を振り返ってみると、もちろん病院にもよるのだろうが、日本でより、むしろこちらでの方が、納得のいく診察を受けている気がしている。

日本では、眼や皮膚の異常を感じて病院に行っても、視診や触診だけで判断される場合が多かった。「この薬でよくならなければ他の可能性を探りましょう」となることも多く、動物の場合はこんなものかと思っていた。

一方こちらでは、眼であれば拡大鏡や試験紙、皮膚であれば皮膚片をとって顕微鏡で観察してみるなど、初回から何かしら検査をして原因を具体的に探ってもらえる。通院の度に日本との比較をし、診察には疑いの目を光らせる習慣は抜けないものの、次第に現地の方針に倣い始めている我が家である。やはり流行る病気も害虫も異なるので、いつまでも日本、日本とばかりもいってはいられない事情もある。常夏の国ではフィラリアやノミ、ダニ対策は一年中必要なので、それだけでも通院回数は増えてしまうが、愛犬の健康のために、うまく動物病院とつきあっていきたい。

*次回は我が家のこの一年の通院、ハプニングを通して、当地の動物病院事情や奮闘ぶりをご紹介します。

わだ まきこ/プロフィール
早稲田大学大学院(教育学)修了後、渉外法律事務所、翻訳会社勤務を経て、出産を機にフリーランスで翻訳、執筆をスタート。愛犬の寝息を聞きながらの仕事は何より幸せ!? 2012年よりクアラルンプール在住。アルコムワールドをはじめ雑誌など、マレーシアネタに幅を広げて活動中。マレーシア国立博物館日本語ボランティアガイド。ママ世代にとってワーク・ライフ・バランスは永遠のテーマ。マレーシアでの生活からそのヒントを探っている。