第13回 砂のお城

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砂のお城

リオデジャネイロの海岸で、観光写真のバックに収まる彫刻がある。ビキニ姿の女性やお城など、細部まで細かに彫り上げた砂でつくった彫刻だ。

砂と水と糊を混ぜ合わせ、型を使用して大まかに骨組みを組み立てた後、窓や戸など細かい部分を細い棒で形作っていく。大きさにもよるが、作業には1ヶ月近くかかり、6ヶ月間の展示が可能だという。雨天の際はビニールシートをかぶせておくだけで、さほど影響ないというから驚きだ。

ブラジルでは70年代に流行った「砂の女」というドラマがきっかけで、「ブラジル砂像コンクール」が開催された。このコンクールの優勝者は国際砂像フェスティバルへ招待され、ブラジル代表として作品を世界に発表した。中でもペドロ・ジェルミ氏は有名で、サントスやセント・ヴィンセントの海岸で砂像をたくさんの生徒たちに教えていたとか。

90年代に入ってコンクールが終了した後、この砂像アートは衰退するが、それでもコパカバーナ海岸を歩けばすぐ見かけることができる。2016年五輪のリオデジャネイロ開催が決定した直後からは、オリンピックをアピールする砂像アートが登場した。もちろん観光客も殺到。砂の彫刻家の多くは、砂像をバックに写真を撮る観光客からのお金で生計を立てている。「海岸の砂もオリンピックに参加するよ」とオリンピックによる経済効果に期待をよせた。

≪高橋直子(たかはしなおこ)/プロフィール≫
ブラジル在住9年目のフォトグラファー&ライター。若い情熱に惑わされてブラジルにはまり、まいた種が芽を出してはや6年。わんぱくに成長したわが子に、 読み聞かせ絵本のポルトガル語を直される毎日。ビールを片手に夜の街に出没し、サンバのステップに足を絡ませる日々を過ごす。ブラジルをあそぶブログ