4 中国・海南島で見たバリアフリーの現状!?/中国

中国・海南島は2009年に中国政府が「国際観光島にする」と宣言した、ハワイと同じ緯度にある南国リゾート地。シェラトン、ヒルトン、リッツカールトンと国際レベルのホテルが建ち並ぶこの島のバリアフリーレベルはどうなっているのだろうか?

国際レベルのホテルや観光地には車椅子貸し出しサービスがあり、スーパーマーケットなどにも「障害者マーク」のついたスロープが用意されている。一見しっかりしているかに見えるが、よく見るとスーパーのスロープの先は壁。つまりスロープを車椅子で降りると壁に激突だ。また観光地もせっかく車椅子を借りて入場しても、中にはとても車椅子では登れないような急斜面や階段だらけなのである。施設の係員に聞くと「残念ですが、車椅子の方はこの先は通れません」と言われる。

障害者マークの上に、「家貸します」の広告!?

街を歩くと公衆トイレは殆どが和式。これでは足腰の悪い老人や障害者には利用不可能である。レストランやショッピングエリアもエレベーターやエスカレーターの無いところも多く、足腰が痛いからと身体をほぐしに行く按摩の店ですら階段しかない所も多い。残念ながら、現状の中国の福祉は表面的には整えてはいるが、中身がまだまだついていっていないようだ。

では実際に障害者の方たちはどのように生活してるのだろう。街で観察していると、バスも電車もたいてい中央に障害者用の座席が用意されている。しかし障害者の人は前方のドアから入ると、前方に座ってる人が必ず席を譲ってくれるので、真ん中の障害者用の座席にたどり着く以前に前方の席に座れるのだ。どんなに混んでいようとも必ず席を譲ってもらえる。中国は障害者だけでなく、お年寄りや妊婦さん、小さな子供連れの方などに非常に優しいのである。若者が寝たフリをしてる日本とは格段の違いである。またタクシーも足の不自由な人に関しては、進入禁止のエリア内ですら入ってくれる。タクシー待ちで先に並んでいた若者もお年寄りに順番を譲ってくれるのである。こうして中国は、国の制度としてはまだまだ発展途上のバリアフリーであるが、人々の善意により障害者の方達もなんとか生活出来ているのである。今後福祉の法整備が整えば、日本よりもはるかに障害者に優しい国になるのではないだろうか。

林 由恵/プロフィール
2008年、ハワイと同じ緯度にあるリゾートの島、中国・海南島へ移住。
もともとは語学留学だったが、海南島の温暖な気候、おいしい果物、食事、そして地元島民の明るく暖かい人柄と中国の文化の面白さに惹かれ、そのまま移住。現在は海南大学で日本語教師をしている。一方でロケコーディネイターやライター業でも活動中。海南島の良さを日本に広げるべく日々奔走中。http://longstayinhainan.rakurakuhp.net/