233号/田中ティナ

この8月、スウェーデンにはない気温と湿度に少々ばて気味ではあるけれど、久しぶりに日本の夏を満喫している。

6日の広島市原爆死没者慰霊式、9日の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典、そして、15日の全国戦没者追悼式と、国家や世界機関を代表する方々の挨拶を、テレビ越しではあるがライブで拝聴することもできた。

広島の平和記念式典でのスピーチも、通り一遍、文字を羅列し言葉の表面をなぞっただけ、と感じられるものもあれば、昨年5月、アメリカの現職大統領として、はじめて広島市の平和記念公園を訪れたオバマ氏のように、核廃絶について声高にがなり立てるのではなく、こころの奥にいつまでも余韻が残るような言葉がある。

肌の色や宗教を理由に、双方の対立をあおるようなツイートを連発するひともいれば、ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領の言葉、「肌の色、生い立ちや宗教を理由に他人を憎むように生まれついたひとはいない。憎むことは学ばなければ身につかないし、憎むことが学べるなら愛についても教えを受けられるはず。……」をツイートし、世の中まだまだ捨てたもんじゃないなと再認識させてくださったひともいる。

言葉は言霊。

海風にふかれ、肌に真夏の太陽を感じつつ、言葉のパワーを実感中だ。

(スウェーデン、エステルスンド在住/田中ティナ)