250号/西川桂子

昨夏、バックパックでキャンプ旅行をしたとき、昔のザックを使って後悔した。ウエストベルトがなく、最小限に抑えたつもりの荷物が肩に食い込む。1時間も歩くと、肩こりからか頭痛までしてきた。目的地に着くころには疲労困憊。こうなると楽しい旅というより苦行だ。それでも、帰ってきてしばらくすると、また出かけたくなってきた。さて、ザックを買い換えるべきか?

バックパック旅行などは、年に1~2度しか行かないだろう。これから歳を取れば体力的にもきつくなるし、さらに機会は減ると考えられる。わざわざ新しいギアを買わず、レンタルしようかと思っていたが、5月には娘が7週間、東南アジア旅行に行く。娘も2年前に息子のバックパックを借りて1ヵ月旅したところ苦労した。サイズが合わなかったのと、本体が少し重かったためだ。二人で共用するなら元が取れる。思い切って、体格の似ている私と娘用に新調することにした。

最近のウェブサイトは情報が豊富だ。レビューを読めば、それぞれの魅力や難点も分かる。オンラインでオーダーしようかと思っていたが、去年の辛さが脳裏をよぎった。本体重量のデータも記載されているが、実際に背負って、感触を味わってから購入しようと、サービスに定評のある有名アウトドアショップMountain Equipment Coop (通称MEC)の店舗まで行くことにした。

MECでは、いかにも「バックパック大好き」というスタッフが、懇切丁寧にアドバイスをしてくれた。フィッティングのチェックから、調整、背負い方、パッキング、幾つもあるストラップの使い方など。経験値の低い、バックパック初心者の私たちの質問にも、気持ちよく答えてくれて、娘と二人で「勉強になった!」「店員さん、良い人だったね!」と清々しい気持ちで店を後にした。

何でもネットで簡単にオーダーできる時代になり、その利便性を満喫しているが、今回ばかりは対面販売の良さを痛感した。後でMECのカスタマーサービスにお礼のメールを送っておこうっと。

   (カナダ・バンクーバー在住 西川桂子)