第4回 トイレはきれいに使いましょう/ノルウェー

数週間前に地元新聞紙上を賑わしたニュースがこれだ。「8歳男児2名、小学校でトイレ掃除させられる」。日本人にとっては、はっきり言って「だから何?」と言いたくなるようなニュースだが、ここノルウェーではちょっとした議論を巻き起こした。

いったい何が起きたのかというと、休み時間に大きい方の用を足した男児が、そのブツと大量のトイレットペーパーを目の前に、このまま水を流したらあふれると判断。トイレ掃除のブラシで突っつきまわした挙句、そのままとんずらしてしまった、という話。それを目撃した清掃員が教師に報告、張本人と共犯者の2人の男児が教師3人の監視のもと、トイレ掃除をさせられたというのだ。

男児の母親いわく、子どもたちは泣きじゃくりながら掃除をし、大いなる屈辱を受けた。故意にトイレを汚したわけでもなく、処罰は不適当である。それに対し、学校および市の児童・青少年課は、汚したトイレを自分で掃除するのは至って当然のことと主張。謝罪を求める親に対し、その必要はないとの考えを表明している。

ノルウェーでは、学校内の清掃は専門業者が行う。日本では、教室だけでなくトイレや特別教室、校庭までも、子どもたちが毎日掃除するというと驚かれる。自分が使った場所は自分で片付ける。ごく当たり前なことだと思うのだが、所変われば考え方も変わるものだ。

情報ソース:アルタポステン(ノルウェー・アルタの地元新聞)

御供理恵(みともりえ)/プロフィール

群馬県出身。地元女子高在学時には、代々伝わるトイレ掃除の掟をきっちり叩き込まれたものの、トイレの神様のご利益にはあやかれず。「学校の掃除なんて一度もしたことがない」ノルウェー人の夫、一男一女と、北極圏の町アルタに暮らす。ライター業の他、翻訳者、ツアーガイド、日本語教師としても活動中。http://www.arcticrainbow.com/