2月17日、モントリオール市裁判所は車の中を私物で飾りすぎた罰金として、タクシー運転手のペレコヴィッツ氏におよそ1300ドルの支払いを命じました。
市のインスペクターは「ペレコヴィッ氏のダッシュボードにはあまりに雑多な私物が混在し、後ろに座ると圧迫感を感じる。又事故の際には額縁が客席まで飛んでくる危険性がある」と証言したそうです。たしかに市条例にはタクシーは公共機関であり、仕事に必要なもの以外、車内に置くことを禁止している項目があります。
奥さんの写真、カナダ国旗などでダッシュボードが賑やかなだけでなく一緒に飾ってあったユダヤ教の教典が問題を複雑にしています。ペレコヴィッツ氏は「一日の大半を過ごす運転席は個人のオフィスと同じで、運転に支障がない限り個人の所有物を飾る自由は許されるべきあり、ユダヤ教の経典を飾るのも個人の自由だ。必要ならばカナダ連邦政府最高裁判所まで上告しても人権の自由を主張する」と判決に納得していません。
過去数年にわたるこの裁判は、人種問題にも波及して一向に納まる気配はありませんが、ニュースに寄せられたコメントの多くは「目的地まで安全運転で、礼儀正しく、清潔な車なら問題ない」とペレコヴィッツ氏に好意的です。
情報ソース:モントリオール日刊紙ガゼットネット版
≪増本昌子(ますもと まさこ)/プロフィール≫
フランス語と英語をともに日常語として使っているモントリオール人にとって、マルチカルチャーは身近な存在です。カルチャー色豊かに飾られたマイカーを見慣れている私たちには、なんとも奇妙な裁判です。モントリオールの暮らしぶりを日本のシニア向け無料月刊誌「ゴールデンライフ」に発信しています。