176号/西川桂子

今年も残すところ1ヶ月あまり。カナダにおける日本の年賀状代わりのような位置づけとなる、クリスマスカードの準備も考えなければいけない時期だ。例年、カードの最後に、「来る年がステキな一年になりますように」といった言葉を添えるが、私にとっての2012年は仕事面において“壁にぶちあたる”年だった。

フリーランスでライター、翻訳者の仕事を積極的に始めたのが2003年。以降、順調に仕事が増えてきた。特に子どもが小さかった頃は、時間の調整が効き、学校行事にも気軽に参加できるのも嬉しかった。何より好きな仕事だった。しかし、去年の末ごろから、得意先が倒産したり、事業縮小で日本語は扱わなくなったり、メルマガ発行元が変わったり……といった事態が相次ぎ、収入が減ったどころか、料金を払ってもらえないこともあった。

正直、落ち込んだが、支えになってきたのが、この『地球はとっても丸い』での活動だ。編集に関わる私のもとに、毎日、数通のe-mailが届く。原稿やメールを読むと、日本で、そして世界で、しっかり根を張ってがんばっている様子が分かる。好奇心旺盛に、アンテナを張りめぐらせて書かれた記事に励まされた。精神的に疲れているときは、メールを読むのが辛かったりしたが、それでも元気をもらうことのほうが多かった。おかげで、つい最近、わずかではあるものの歩を進めることができた。

11月は、神無月(10月)に出雲を訪れ留守だった神様たちが戻ってくるのを迎える月、神楽月だ。戻ってきてくれた神様たちと、この一歩をお祝いして、ラストスパートをかけたい。

(カナダ、バンクーバー在住/西川桂子)