子どもがいると、ハロウィンのある10月はコスチュームの用意やら、関連イベントへの出席、さらにトリック・オア・トリートで訪れる子どもたちへのお菓子の調達、おばけカボチャの準備などで忙しい。ただし、コスチュームやハロウィン・イベントの参加は、一般的には小学生(グレード7年生、12~3歳)までだ。ティーンエイジャーになると、学校でパーティがある場合を除いては、親の出番は大してない。
昨年、14歳の息子に予定を聞くと、学校でパーティなどはないし、コスチュームは不要だという。今年は楽チンと、のんびりモードで10月を過ごしてきた。
しかしハロウィン当日になって、母である私を悩ませる事態が発生した。パーティはないが、友人のタイラーの家に男友達7人ほどで集まるという。タイラーは小学校からの友達で、我が家から歩いて5分ほどの距離に住んでいる。下の子どものトリック・オア・トリートの付き添いがてら、途中で上の子どもの様子をみることもできる。ほかに集まるメンバーも、ほとんどが小学校の仲間で、私たち夫婦の知っている子どもたちだ。心配しなければならないような顔ぶれではなかった。
「OK。じゃあ、9時になったら電話をしなさい。迎えに行くから」と言い渡すとブーイングにあった。
「9時に帰るヤツなんていないよ」
夫も「9時はひどい」と息子に同情的だ。
14歳で夜9時は早いとは思わなかったが、カナダではそんなものかと、
「じゃあ、1時間遅らせて10時」
と告げた。息子にとっては10時でも早かったようで
「明日は休み(昨年は金曜日だったため、翌日は学校も休み)だし、みんな11時頃までいる予定だよ」「タイラーのお母さんもOKって言ってるよ」
とねばる。
友達が一緒だ。ショッピングモールなど繁華街に出かけるわけではない。よく知っているタイラーの家なので、はめをはずすといっても知れている。ホストのお母さんが了解しているのなら許可しようか、しばらく悩んだが、問題はお迎えだ。正直言うと11時に迎えに行くのが面倒だった。
すぐ近所だし、同じ方向に帰る友人もいるので、子どもだけで帰らせても良いかとも思う。でも、少なくとも私の周囲の保護者は14歳に夜中に子どもだけで歩かせたりしないのだ。
一方、夫は「もう大きいし、タイラーの家はすぐ近く。一人で帰ってきても大丈夫では?」という態度だ。私も神経質になりすぎかと思うが、2年前に市内で18歳の青年が行方不明になり、まだ見つかっていない。後悔するぐらいなら最初から毅然とした態度で臨むべきではないか。「間をとって10時半。これ以上は妥協しません!」と話を打ち切った。
ハロウィンの一件で、子どもの門限について考えさせられた私は、同じ年頃の子どものいる友人に「お宅の門限は何時?」と聞いてまわった。あらかじめ許可を取った場合は9時から10時という家庭が多かったが、驚いたことに、「うちは先週、帰ってきたのは夜中の1時半よ」という人もいた。「よく知っている家で、DVDを見るので、終わったらそのお宅のお父さんが送ると言うのよ」
1時半になるのなら、泊めてもらったらいいのに……と思わなくもないが、外泊の癖をつけるよりは、深夜すぎでも帰ってこさせたほうがいいのだろうか。
今年のハロウィンは日曜日。翌日は学校なので、あまり遅くならないうちに帰ってきてもらいたい。
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夫が子どものころは、トリック・オア・トリートで手作りのクッキーをもらったこともあるそうだ。残念ながら、異物が混入していたり、お菓子を食べて病気になる子どもがいたりしたために、最近では店頭販売のパッケージされたものしか、あげないし、もらわない。義母も昔はクッキーを配っていたということで、レシピを紹介しよう。
レシピ
シュガークッキー(型抜きクッキー)
材料
グラニュー糖 1C
バター(またはマーガリン) 1C
卵1個
バニラエッセンス 小さじ1
A
小麦粉 2C
重曹 小さじ1
(1Cは250cc)
1.オーブンを175℃に予熱する。
2.粉類(A)を混ぜておく
3.バターをクリーム状に練り、砂糖を少しずつ加えて混ぜる。
4.卵を溶いて少しずつ加えて混ぜ、バニラエッセンスを加える。
5.2を、4に混ぜる。
6.打ち粉をした台の上に伸ばして、好みの型に抜く。
7.オーブンで10分焼く。
ハロウィンにはコウモリやお化けの型以外にも、指をイメージした形のクッキーも作る。爪の部分はカナダではアーモンドのスライスを使うのが普通。今回は花豆で代用した。血のイメージで、赤いアイシングをノリ代わりに。カナダのレシピでは食紅を使うが、私は冷凍保存しているイチゴなどをつぶして、赤い水分を利用している。
≪ふじき・みきこ/プロフィール≫
バンクーバー在住のフリーランスライター。12歳の娘は、今年はトリック・オア・トリートではお菓子ではなく、フードバンクへ