第5回 子どもだからできることを考えるクラブ

歳時記なので春の話題にするつもりだったが、震災以降、日本全国はもちろん、世界各地で繰り広げられている義援金の募金活動を見ていて気が変わった。今回は、娘の参加している活動について紹介したい。

7年生(13歳)の娘は中学校で、フリー・ザ・チルドレン(「Free The Children=子どもたちを解放しよう」という意味)クラブに参加している。

子どもたちを貧困や児童労働などから開放しようという、フリー・ザ・チルドレンは1995年に、当時12歳だったカナダ人、クレイグ・キールバーガーが始めた。世界には、飢餓や貧困、児童労働、紛争などで苦しむ子どもたちが多数いる。貧困のため幼少の頃から重労働で苦しんだ同年齢のパキスタン人の話を聞いたクレイグが、自分も同様の状況に苦しむ子どもたちに何かしたい、子どもだからこそできることをしようと考えたものだ。

クラブ活動といっても、日本の学校の必修クラブとは異なる。課外活動の部活動に近いが、放課後ではなく、金曜日の昼休みを中心に活動している。6年生から8年生が通う学校で、現在、メンバーは女の子ばかり15~20人だ。

娘は7年生になった去年の9月から、このフリー・ザ・チルドレン・クラブに入った。この半年ほどで、発言権を奪われている子どもたち(注)がいることに抗議して、一日、話をしない「Vow of Silence」、「ケニアに学校を建てるための募金運動」などに関わってきた。

面白いなと思ったのは、ハロウィンのHalloween for Hunger(空腹((の人))のためのハロウィン)だ。通常、Trick or Treat(お菓子をくれなきゃ、いたずらする)と言って、各家庭でお菓子をもらうが、フリー・ザ・チルドレン・クラブで話し合って、お菓子のかわりに、缶詰や保存の利く食料品の寄付を集めて、生活困窮者のためのフードバンクに届けようということになった。

フリー・ザ・チルドレンは、「子どもたちでも行動を起こすことができる」をスローガンのひとつにしていて、子どもが主体的に活動することを重視している。教師がサポートするが、メンバーでプロジェクトを決めて、どうすればその目標をうまく達成できるか考える。

Halloween for Hungerも、「当日にいきなり寄付をお願いしても、家庭ではお菓子は用意していても、フードバンクに寄付するための缶詰などはないかもしれないよ」と先生からアドバイスがあったそうだ。寄付をうまく集める方法を、子どもたちで話し合い、寄付をお願いするチラシを用意して、ハロウィンの2~3日前に、自分が訪れる地域の家に配っておいた。プロジェクトは大成功で、娘と友人は二人で600個、クラブ全体で約1000個の食品を集めることができた。

フードバンクに集まった食料品は、代表として娘と友人、そして先生が届けた。「ちょうど、今日は食料品の配布の日で、ドアの前にたくさんの人が並んで待っていたけど、ほとんどの人がタバコ(カナダでは喫煙に関する法律が非常に厳しい上、タバコ税がとても高いため、ぜいたく品)を喫っていた。タバコを買うお金があったら自分たちで食料品を買えるんじゃないのかな」とびっくりして帰ってきた。実際に子どもたちが届けたことで、彼女たちなりに、さらに考え、学ぶものもあったようだ。

現在は、5月に予定している体育館お泊り会の準備中だ。飢えに苦しむアフリカの子どもたちの生活がどのようなものか、体験してみるというもので、当日は朝ごはんの後は、飲み物以外は口にしないで、夜は電気を使わず、ろうそくのみで過ごす予定だという。

注)フリー・ザ・チルドレンの「発言権を奪われている子どもたち」は、児童労働を強いられている、あるいは戦火の中で暮らしているものの、嫌だと言えない子どもたち、自由を奪われている子どもたちのこと。

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春から夏にかけては冷たいドリンクが飲みたくなる。オート麦を入れて、朝ごはんがわりにするというレシピで、子どもたちのお気に入りだ。でも、私としては、普通の朝食をしっかり食べて欲しい。

レシピ

ストロベリー・オートミール・ブレックファースト・スムージー

材料

  • 豆乳1C
  • 押しオート麦 1/3C
  • 冷凍したバナナ1本(凍らせる前に3つぐらいに折っておく)
  • 冷凍したイチゴ1C

1. 材料を全てブレンダーに入れて、1分半ほど混ぜる。甘いのが好きなら砂糖やガムシロップを加える。


≪ふじき・みきこ≫
バンクーバー在住のフリーランスライター。カナダでも東日本大震災の被災者に、さまざまな支援活動が行われている。娘のフリー・ザ・チルドレン・クラブでも何かやって欲しいと思うが、子ども主体ということで、親は何も言わないで我慢。ただし、震災で孤児となった子どもたちの話はしたいと思っている。