第14回 ロスバゲキター!

これと言って見るべきところもないヒューストンのダウンタウン

ついに来るべき時がやってきた。ロストバゲージである。100回以上飛んできて、これまでに一度もなかったのは運がよかったのだ。ロスバゲが発覚したのはユナイテッド航空で到着したメキシコ・モンテレイ。荷物を積み忘れたのは、ユナイテッド航空のハブ空港、ヒューストン・ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタルである。ちなみに、私はユナイテッド航空のマイレージプログラムではプレミア1Kという最上級会員だ。

モンテレイで荷物が出てこないことを確認してすぐにヒューストンから送るよう手続きをした。帰りの便を一日遅らせ、ホテルも延泊にした。しかし、翌日の朝一番の便で来るはずの荷物は来なかった。それから待てど暮らせど荷物は来ない。それどころか、荷物の所在さえもずっと不明のままだった。

夕方近くなってようやくモンテレイのユナイテッド職員によって、荷物が成田に送り返されたことがわかった。しかし、にわかには信じがたいので、ユナイテッド航空の日本語デスクに電話してみた。ホノルルの日系人らしいスタッフは「ヒューストンからすぐに送らせます」と言う。ヒューストンからモンテレイへの便は頻繁に飛んでいて、その時点ではまだ最終便には間に合った。しかし、どうもこれも眉唾くさい。再度日本語デスクに電話すると今度はヒューストンの日本人スタッフにつながり、やっと成田に送り返されたというのが正しいことがわかった。ついでにユナイテッド航空で荷物を扱っているのは外注であるということもよくわかった。

ユナイテッド航空の対応がひどいとはよく聞いていたが、これほどまでとは! 初めての任務未了であった。今後の対応策として、ヒューストンで行き先を誤ってターンテーブルに荷物が出てきてないか確認する、積み忘れられないようにヒューストンで乗り継ぎの時間を十分にとることになった。モンテレイ行きはこれまで1泊3日だったのだが、この一件で日数が増えるのは必至である。

片岡恭子(かたおか・きょうこ)/プロフィール
1968年京都府生まれ。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒。同大文学研究科修士課程修了。同大図書館司書として勤めた後、スペインのコンプルテンセ大学に留学。中南米を3年に渡って放浪。ベネズエラで不法労働中、民放テレビ番組をコーディネート。帰国後、NHKラジオ番組にカリスマバックパッカーとして出演。下川裕治氏が編集長を務める旅行誌に連載。蔵前仁一氏が主宰する『旅行人』に寄稿。新宿ネイキッドロフトで主催する旅イベント「旅人の夜」が7年目を迎える。ロックバンド、神聖かまってちゃんの大ファン。2014年現在、46カ国を歴訪。処女作『棄国子女-転がる石という生き方』(春秋社)絶賛発売中!

以下、ネット上で読める執筆記事
春秋社『WEB春秋』「ここではないどこかへ」連載(12年5月~13年4月)
東洋マーケティング『Tabi Tabi TOYO』「ラテンアメリカ de A a Z」連載中(11年3月~)
NTTコムウェア『COMZINE』「世界IT事情」第8回ペルー(08年1月)