259号/凛福子

もう何年も、朝の散歩を日課にしている。座業なので、気をつけていないと運動不足になること必至なので、せめてもの健康と体力維持のために。幸い寝起きはいいので、早起きして散歩に出ることは、特に苦にならない。

とはいえ、まったくつまらなければ続かない。モチベーションとなっているのは、ご近所ネコさんたちに会えることと、季節の花の移ろい。最近はスマートフォンでキレイに写真が撮れる上、名前を知らない花であっても、写真をアップすればAIが判断してくれると同時に、詳しい人々が教えてくれるという無料のアプリもあるので、すこぶる楽しい。

四季がはっきりしている日本にいてこそ、とよろこんでいる反面、ここ数年ちょっと気になっていることがある。それは、花の咲く時期がちょっとおかしくなってきていること。

いわゆる「おばあちゃんっ子」だった私は、近所に住む祖母と、夕食前にたびたびいっしょに散歩に出かけた。今になって思い返しても、よく子どもの足であれだけ歩いたなという距離だったりするのだが、自然が好きで草花にも詳しい祖母がいろいろな植物について教えてくれるのがうれしく、楽しかった。そして、いつの間にか、どの季節にどんな花が咲くか、けっこう詳しくなった。

今は、その身につけた感覚から、花の時期が外れてきていると感じる。はじめは狂い咲きかな? とか、今年は特に暑かったから……と、例外だと思っていたのが、その数や種類が多くなってきて、例外とは言い切れないのでは? と感じはじめた。温暖化の影響なのか、とにかく、自然からの警告だと思わざるを得ない。

世の中には、今さらレジ袋やペットボトルなどやめたところで、大差はないという意見もあるらしい。むろん私だって、それで温暖化が食い止められると思うほどおめでたくはない。しかし、始めないことは進まない、広がらない。千里の道も一歩から。歩き始めなければたどりつかない。1匹目、2匹目がいなければ、100匹目の猿もいない。

16歳の少女に喝を入れられたことがきっかけだっていい。気づいた人から始めなければ本当に取り返しがつかなくなるから。

(日本・東京在住/凛福子)