中国と言うと“ドアの無いトイレ”が頭に浮かぶ人も多いと思う。
しかし、広大な中国では“ドアが無い”以外にも、度肝を抜くいろいろなものがある。私が体験したのは、広西自治区で遭遇した“倉庫兼トイレ”。
とある田舎町で入ったそこは、広さは8畳程度、バイクやその他荷物が無尽蔵に置いてある、どうみても倉庫。どこで用を足すのだろう?
よく見ると左の片隅にそれらしい穴が……。ここでするの? 何とも落ち着かない。
さらに田舎に行くと、もう専用の場所は無い……。つまり“青空トイレ”そのへんでやってくれ、ということらしい。
もちろん都心部では、ちゃんとドアのあるものが普及しているので安心してほしい。だがそのドアも鍵が壊れていることがしばしば。とある大学の女子用お手洗いは、すべてのドアの鍵が壊れている。中国では、もともとドアが無いことが普通だったので、鍵が壊れているくらい何でもないことなのかもしれない。
綺麗に着飾った女の子たちが、なんの恥じらいもなくドアの無いところや鍵のないところで用を足す風景はどうにも不思議だが、彼女らに言わせると「排泄行為は人間として当たり前の行為だから恥ずかしくない」とのこと。
日本人が赤の他人と一緒に入る温泉や銭湯を恥ずかしがる中国人だが、トイレにおいては開放的でオープンなのが面白い。
≪林 由恵(はやし ゆえ)/プロフィール≫
中国最南端の島、海南島在住。1年中暖かいこの楽園は、ロシア人や中国人の富裕層が、冬の間バカンスに訪れる島として有名。現在この島の在住日本人は少ないが、日本人のロングステイ先に紹介したく日々奔走中。http://longstayinhainan.rakurakuhp.net