おフランスにも、恐ろしい「大ハズレ」トイレがあります。ヨーロッパのトイレの普及は街が発展したあとだったので、中世の建物の中にあるノルタルジックなカフェでは特に、パリの中心地であっても油断はできません。
男性用としてしか使えないと思われるほど、便器と壁にスペースが無いものは、安ホテルでも遭遇しました。
が、「大ハズレ」はやはり“拷問級歴史記念物”とも言える『トルコ式』でしょう。 日本のしゃがむタイプの前の半球部分が無い四角い陶器製で足を乗せる部分が数センチ高くなっています。排泄物は前方中央にある排水口に(場合によっては洗浄用水と一緒に)流れますが、女性の長いネックレスは禁物、男性も同じトイレですので、しゃがんだ状態で(女性はこれを強いられますね)できるだけ匂いが鼻に入ってこないようにする各自工夫も必要です。パリの歩道にも建っているボックス式の公衆トイレは、これをベースにしたものでしたが、やっと最近無料になり、障害者やお年寄りも利用できる座るタイプになりました。
パリにやっと数カ所出没してきている“超オシャレ” 公衆トイレは、通常50サンチームの使用料が4倍の2ユーロ。支払いを済ませると黒いスーツのモード系のスタッフが個室まで連れていってくれます。ショールームのように素敵なデザインの便器の個室が並び、ペーパーも色とりどり。用を足したあと、あまりに美しいデザインゆえ、どこが水洗のボタンなのか判らず、モード系お兄さんを呼びに行ったマダムも居らっしゃいました……。しかしこの高額な公衆トイレでは、長居をして元を取りたくなるのは、私だけでしょうか?
≪Tomoko FREDERIX /プロフィール≫
岐阜出身。1994年より在仏。実業之日本社発行、旅のガイドブック(”わがまま歩き”シリーズ、パリ版、フランス版、ヨーロッパ版など)の取材、撮影、執筆を15年来担当。雑誌、各種媒体にあわせた記事の企画から制作まで承ります。その他、市場&製品リサーチ、視察旅行、MICE旅行などの企画、コーディネイト、通訳同行、あるいは日仏間ビジネス・マッチング&コーディネイト、二カ国語アシスタントとして、ビジネス・フィールドでの経験も豊富。映画製作プロダクション、撮影通訳アシスタントの経験あり。tomoko.frederix@gmail.com あるいは http://nippon-normandie.com のメールフォームからご連絡いただけます。