第7回「原発いらない!」を表明/日本

日本に里帰りしている。

3.11の震災以降、ミシガンの自宅にいるときは、最新の原発関連ニュースをチェックすることが日課となっているが、知るほどに、諸刃(もろは)の剣のような原発問題に無知無関心だったことを深く反省し、恥じている。

海外在住の身ながら、脱原発に繋がる活動を応援するなど、できる範囲で自分の意思を貫きたいと思ってはいるものの、日本人として日本で脱原発に繋がるアクションを起こせないことは少々歯がゆいと感じていた。そんな中、9月19日に「さよなら原発 1000万人アクション」として全国で行われるデモ・パレードが名古屋でもあることを知り参加した。

東京では6万人(主催者発表)が集まる盛大なデモとなったが、名古屋は2000人規模。これからの子どもや若者が安心して暮らせる環境を切望する人々が「原発いらない!」という気持ちを胸に名古屋市の白川公園に集合し、若宮通から、栄を通過し東新町にある中部電力名古屋本店までの道のりを「脱原発・NO NUKES」のサインを掲げて歩いた。

実をいうと、「原発反対!」を唱える人々というのは、インターネットで情報を得ることが得意な若者が多いに違いないと思い込んでいたが、パレードに足を運んでみて意外だったのは、若者がまばらだったこと。

栄という名古屋の繁華街では、ファッション誌から飛び出てきたような、ティーンエイジャーや20代前半の若者たちで賑わい、道行く人々がとてもカラフルだ。それに相反し、その目前を行進するデモ参加者は地味。平均年齢がかなり高そうなことにちょっぴりがっかりした。

さしずめ、若者はデモに参加するよりは、おしゃれな服に身を包み、ファッションビルでお買い物に興じるほうが楽しいじゃん!といったところなのだろう。

まぁ、それもわからなくはないが……。

行進の途中、若いカップルの男性が私の掲げるサインを見て、手をつないでいた彼女につぶやいた。

「原発ってなんだ?」

私は自分の耳を疑ったが、いっしょにデモに参加していた妹もその言葉を聞き逃さなかった。

「聞いた?」と妹。

二人で同時に「ありえん……」と絶句した。

まぁ、いいか。少なくとも、今日、あの若者はデートのときにデモに遭遇し「原発ってなに?」と疑問を持ってくれたのだから。

9月も後半だというのに、めまいがするほど暑い日だったが、自分の意思を表明する行動に参加することができて気持ちの良い汗を流した。

≪椰子ノ木やほい/プロフィール≫

アメリカ合衆国・ミシガン州在住フリーライター。「海外在住メディア広場」運営・管理人。