190号/プラド夏樹

新しい年が始まった。編集部も、新しいメンバー2人を迎えてスタートした。

ところで、新年早々、我が家の中庭では大がかりな改修工事が行われている。職人たちは朝8時ぴったりに仕事をし始め、いなくなるのは夜7時頃。陽が暮れても、まっくらな中、大きなスポットライトをつけて仕事を続けている。この働きぶりはフランス人らしくないと思った。

「遅くまで働いて感心ですね」と話しかけていると、「おれたち、ポーランド人だから」という返事だった。

EU諸国の国籍をもっている人は基本的にフランスで仕事をすることができる。最近は、お店の店員、小さな村の医院から大病院の夜勤医、看護師、マッサージ士、いろいろな分野でEU諸国から来て働いている人々が増えた。スペイン、イタリア、ポーランドなどフランスより失業率が高い国からの人々が多いが、働きぶりが良いので、気持ちいい。

それでも、1月半ばに発表された政治化学研究所の統計によると、フランス人は集団ペシミズムに突入しつつあるという結果が出ている。「今の精神状態は?」という質問に対してなんと34%の人が「不機嫌」、31%が「倦怠」と答えている。

こんな統計を聞くだけでも気が滅入るが、スペインの河合さんによる職人さんに関する原稿で、江戸っ子らしい職人でいらっしゃった粋なお父様のことを読んで新年らしい張りのある気持ちになった。いきいき働く人たちの姿に触れることができる連載、次回が楽しみだ。

(フランス・パリ在住 プラド夏樹)