246号/スプリスガルト友美

9月に新4年生となった娘に続き、私も10月に修士課程2年目が始まった。自分の子どもにもなり得るくらいの年齢の、まだ高校生のあどけなさが残る大学1年生を横目に、初めての講義の先生がやって来るのを廊下でドキドキしながら待っていたことを思い出す。

昨年の今頃、8人という“少数精鋭”でスタートした私達の専攻は、前期の終わりに6人になっていたが、今年度はさらに一人減って5人になってしまった。去って行った3人は皆それぞれ別の専攻へと移っていったようだ。自分の思い描いていた講義内容と違い、不満があったということなのか。

ポーランドでは国立大学の授業料は国から支払われているので、学生は学費を気にせず勉強できる。だがその分、このように簡単に途中で辞めて別の専攻で再スタートを切る学生も少なくない。大学で勉強したことが卒業後の仕事に直結するため、よりよい将来を見据えてつい違う分野に目が行ってしまうのかもしれない。隣の芝生は青く見えてしまうものなのだろう。

ふと自分が東京で学生だった20年前のことを思い返してみる。頑張って勉強したポーランド語を生かした仕事がしたいと思っていたのに、就職活動ではなかなか先に進めず、「他のもっとメジャーな言語を専攻していれば……」という思いが頭をかすめたことも。

とはいえ、一つのことを最後までやり遂げることも大事だと思わずにはいられない。外国語での勉強についていけるのかと心配していた学生生活ももう後半戦。昨年様々な授業で知り合った学生や先生方に挨拶したり立ち話したりするのを嬉しく感じながら、走り始めたこのコースを最後まで駆け抜けたい。

             (ポーランド・ポズナン在住 スプリスガルト友美)