第1回 長~い夏休みをどう過ごす?

ティーンになると外遊びをあまりしない。サマーキャンプも14歳までというものが多いし、興味がなくなるので、参加しない。学校で部活動があるわけでもない。夏休みの宿題もない。ないない尽くしだ。そこで、テレビを見たり、ゲームをしたりで、夜遅くまで起きている。夜更かしをすると当然、起きるのはお昼近く。けじめのない生活も少しの間なら我慢できても、2ヶ月となると長い。そのため、「今年は早めに対策を練らなきゃ!」と年明けごろから夫と話しあってきた。

まず、最初に考えたのが、カデットキャンプだ。カデットは、カナダ軍人の候補生としてトレーニングを受けている12歳から18歳の青少年のことだ。ただし、参加したからといって、将来必ず入隊しなければいけないというわけではない。広報活動の一環だ。

日本でも自衛隊が夏休みに青少年向けに隊内生活体験を行っているようだが、カナダのカデットは、年間を通して活動している。去年、カデットを卒業した姪曰く、内容は体育の授業のようなもので、プラス規律やリーダーシップについて学ぶことができる。一番の魅力は、夏のキャンプに参加するとお金をもらえるので、姪はアルバイト感覚でやってきた。

息子に聞いたら、「やってみようかな」ということだったので、1月の半ばに申し込みに行った。しかし、夏のキャンプは人気で、年末で既に締め切っていた。カデットは素晴らしいと、姪から勧められていたものの、軍活動に息子を参加させることに、多少躊躇があったので、諦めることにした。

次に考えたのは、アルバイトと夏期講習だ。アルバイトについては、息子は私たちに対して借金がある。どうせ、暇にしているのだから、お金儲けをしてほしいと考えた。

アイスホッケーをしているので、シーズン中の秋から冬にかけては、審判のアルバイトがあるが、春からは働いていなかった。求人の張り紙を探すのだが、見かけないので、ファーストフードの店で聞いたそうだ。夏のアルバイト募集は5月からで、ウェブサイトの求人のページから応募すればよいという。

張り切って数社に応募しておいたが、全く連絡なし。履歴書を持ち込んでおいた日本食レストランから電話があったが、15歳という年齢を聞いて不採用。簡単に仕事は見つからない。夏休みが始まる直前に、何とか週末のみ、アイスホッケーの審判の仕事を得た。

夏期講習のほうは、塾などではなく、教育委員会によるものだ。単位を落とした生徒や、イマイチ成績が悪かったという子ども、あるいは次の学年分を予習がわりに勉強したいなど、さまざまな理由で受講が可能だという。期間は7月第一週からほぼ1ヵ月間で、主要5教科と音楽から選択できる。息子は単位を落としはしなかったが、得意なはずの数学の成績が芳しくなかったので、説得して受講してもらった。

講習が終わると、夏休みのほぼ半分が終了。オンタリオ州への旅行と週末のアルバイト以外は、のんびり過ごしている。

受験がないカナダでは、夏は何もしないで遊んで過ごすことをモットーにしている家庭もある。せっかくの夏休みに勉強させるのは親のエゴかと思ったり、可哀想な気もしたが、15歳の夏は一度きりだ。特別なことをしなくてもいいが、有意義に過ごして欲しい。

新学期まであと2週間だ。もうすぐ夏が終わる。

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バンクーバーの夏は、ブルーベリーやラズベリー、ブラックベリーなど、ベリー類が美味しい。
ベリー

15歳ともなると、家族と一緒にビーチやハイキングに行く際にはついてきてくれないが、食いしん坊なのでベリー摘みには来てくれる。農場で大量に摘んできたベリーは、そのまま食べたり、マフィンやスコーン、パイを作る。最近凝っているのは、クラムパイ。丸型のパイシートを使うとあっという間にできる。


パイ

レシピ

ベリークラムパイ

材料
丸型パイシート(パイシェル)

中身
グラニュー糖 3/4C
小麦粉 1/3C
レモン汁 小さじ2
ブルーベリーやラズベリー、ブラックベリーなど 5C

トッピング
ブラウンシュガー 2/3 C
オーツ麦(オートミール) 3/4C
小麦粉 1/2C
バター 大さじ6

1.パイシートをパイ皿に敷く
2.中身の材料を混ぜて、パイシートに載せる
3.トッピングのバター以外をよく混ぜた後、フォークなどで、バターを切りこんでいく
4.ベリーの上にまんべんなく伸ばす。
5.190度のオーブンで40分焼く

中身とトッピングはカナダの9インチ(約23センチ)サイズのパイシェル用。このレシピは基本で、私は糖分を少し控え、その分、小麦粉など粉類を多めにする。

≪ふじき・みきこ/プロフィール≫
バンクーバー在住のフリーランスライター。ティーンエイジャーとなった息子の行動を中心に、バンクーバーでの生活を、カナダ人のごく普通のメニューとともに紹介していきたい。