第11回 仕事がない!

家入一真氏との対談後の打ち上げ

運び屋の専用携帯が久しく鳴らない。壊れているわけではない。出動要請が下らないのである。この仕事の繁忙期は例年11月から3月にかけて。それ以外は閑散期だが、それでもこれまでは月に一度は仕事があった。しかし、4月7日にアトランタから帰ってきて以来、もう1ヶ月以上も仕事がない。これはめったにないことだ。

繁忙期には留守がちなアパートの家賃を払うために働いている。自宅ですごす時間が短いので光熱費も少なくてすむ。シャンプーや石鹸、トイレットペーパーは、ホテルのアメニティや備え付けのものをもらってくるので買わなくていい。さらに、機内上映で最新映画がたくさん見られるので、映画鑑賞やDVDレンタル分の娯楽費も浮く。もちろん飛べば飛ぶほど、マイレージも貯まる。

つまり、運び屋の仕事がないということは単に収入がないということ以上の大打撃なのだ。在宅時間が長くなってやっと払い甲斐がある家賃を払えなくなるとさすがに困る。これはもう他の仕事を増やさなければならない。焦らず腐らず錯乱せず!

まず手始めにブログのコンテンツを充実させ、SNSで宣伝告知に力を入れた。インターネット歴20年なのでこれは朝飯前。昨年末に出版した本を売るために、インタビュー記事や書評をまとめたチラシを配ったり、大きな書店で家入一真氏と対談したりした。出不精だとか引きこもりだとか、もはや言っている場合ではない。

起こしたアクションに対しては、必ずそれなりのリアクションがある。著作は地味にじわじわと売れている。スペイン語講座で来月から教えるし、近々またビッグネームと対談する予定がある。他にもいくつかおもしろい仕事が決まりそうだ。おかげさまで。

運び屋の仕事はしばらく暇が続いた後に、いきなり怒涛のような忙しさに見舞われることもしばしばだ。これは嵐の前の静けさなのかもしれない。明日をも知れぬどころか、今晩自分がどこで眠るのかさえわからない我が身なのである。

5月8日池袋ジュンク堂での家入一真氏との対談はこちらで配信しています。
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6月11日開講、スペイン語講座@高円寺パンディット~恭子(きょうこ)の文法・恭子(ゆきこ)の会話~についてはこちらをご参照ください

片岡恭子(かたおか・きょうこ)/プロフィール
1968年京都府生まれ。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒。同大文学研究科修士課程修了。同大図書館司書として勤めた後、スペインのコンプルテンセ大学に留学。中南米を3年に渡って放浪。ベネズエラで不法労働中、民放テレビ番組をコーディネート。帰国後、NHKラジオ番組にカリスマバックパッカーとして出演。下川裕治氏が編集長を務める旅行誌に連載。蔵前仁一氏が主宰する『旅行人』に寄稿。新宿ネイキッドロフトで主催する旅イベント「旅人の夜」が6年目を迎える。ロックバンド、神聖かまってちゃんの大ファン。2014年現在、46カ国を歴訪。処女作『棄国子女-転がる石という生き方』(春秋社)絶賛発売中!

以下、ネット上で読める執筆記事
春秋社『WEB春秋』「ここではないどこかへ」連載(12年5月~13年4月)
カジュアルプレス社『月刊リアルゴルフ』「片岡恭子の海外をちこち便り」連載中(08年8月~)
東洋マーケティング『Tabi Tabi TOYO』「ラテンアメリカ de A a Z」連載中(11年3月~)
朝日新聞社『どらく』「世界のお茶時間」ハーブの国の聖なるお茶 Vol.22 ペルー・アンデスのマテ茶(10年2月)
朝日新聞社『どらく』「世界の都市だより」リマのひと マテオの口元ほころんだ(06年11月)
NTTコムウェア『COMZINE』「世界IT事情」第8回ペルー(08年1月)