第4回 いわきから希望の種 ”オーガニックコットンプロジェクト”

コットンでつくられたかわいらしい小さいお人形がある。
その名も「フクシマオーガニックコットンベイブ」。いわき市で有機栽培され育ったふわふわの茶綿に”種”がついた人形で、避難所や障がい者施設でひとつひとつていねいに手づくり...
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コットンでつくられたかわいらしい小さいお人形がある。

その名も「フクシマオーガニックコットンベイブ」。いわき市で有機栽培され育ったふわふわの茶綿に”種”がついた人形で、避難所や障がい者施設でひとつひとつていねいに手づくりされたものだ。しかし、これはただの人形ではない。

コットンベイブのこの”種”が日本各地で蒔かれ、オーガニックコットンとなっていわきに再び戻ってくる。そして製品に生まれ変わり世界中へと羽ばたいていく”希望の人形”なのだ。

フクシマオーガニックコットンベイブは「ねんね」「キャップ」の2種。各840円

オーガニックコットンプロジェクトは、いわき市でリサイクル事業に取り組んでいる”NPO法人ザ・ピープル”が中心となって、いわきの農業復興・再生に向けて、有機農法による綿花栽培を去年の春にスタートさせた復興プロジェクトだ。

綿花でもめずらしい茶綿を栽培

一番心配なことといえば放射能問題。

農作物に比べ土壌から綿への放射性物質の移行係数は、非常に低いとされており、「放射性物質不検出」という検査結果が出た。

そして、安全なオーガニックコットンが収穫できたのだ。

「12月まで収穫できるだろうと思っていたコットンボールの質が思ったほど良くなくて、想像していた1/3以下の収穫量。農業1年生にとって学びの多い1年だった。2年目となる今年は改善点を踏まえ、前に進んで行きたい」とザ・ピープル理事長の吉田恵美子さん。

綿繰り前の、綿についたゴミ取り作業は1月下旬まで続き、紡績工場に送れた綿はわずか30キロだったという。これから紡績、生地加工と入り6月にはオーガニックコットンTシャツやハンカチとなってお目見えする。

草むしり、種まき、収穫、綿繰り……

オーガニック展示会「ビオファジャパン」や環境展示会「エコプロダクツ2012」にも出展

いわき市民や県外から訪れた多くのボランティアの支援があった。たくさんの方々の手によって、大切に愛情持って育てられたいわきオーガニックコットン製品の誕生が、とても待ち遠しい。

いわきオーガニックコットンプロジェクト<http://www.iwaki-otentosun.jp>

”福島を想う~がんばっぺいわき~”として第3回まで執筆させていただきましたが、震災から時間が経つにつれて「がんばっぺ」という言葉は、もう十分がんばっているいわき市民にとって重い言葉になりつつあります。今回から、「がんばっぺいわき」改め「愛しきいわき」に変更させていただきますことをご了承ください。

大堀功美子/プロフィール
オーガニックコンシェルジュ/ライター/フォトグラファー/メディアコーディネーター
福島県いわき市小名浜出身、オーストラリア・ゴールドコースト在住。オーガニックコンシェルジュとして五感で愉しめるオーガニックを広めるために、メディアへの出演、新聞や雑誌、ウェブマガジンなどへの寄稿、ワークショップを開催。オーストラリアのデイスパ専属フォトグラファー。