私たち両親は、もしかしたらディスレキシアであるかもしれない息子に一体どう接してよいのかまったくわかりませんでした。とりあえずネットで検索できる資料にはすべてあたり、教育メソッドと言われるものについての情報を集め始めました。
英語の資料になりますが、やはり身近な家族がディスレキシアであったSuzan Burtonのウェブサイトは大変参考になりました。今でもメールマガジンを購読しており、内容は細かくチェックしています。
Susan Burton は家族のディスレキシアをきっかけに研究を始め今ではアメリカ合衆国を中心にたくさんの講演やセミナー、ビデオ講習などを行っています。特殊な訓練方法についても述べていますが、それにはまた後ほど触れることにして、今回はディスレキシアの症状がどんなものであるか、簡単に見てみたいと思います。
Susan Burtonがウェブサイトで公表しているコンテンツの一部をご紹介します。
まずは幼児の段階での代表的症状です。これは症状のうちに含まれるというだけであって必ずしもこの症状があるからといってディスレキシアとは限りません。
幼稚園から低学年での代表的な症状
・言葉の遅れ
・長めの単語を間違えて発音する、または発音できない、覚えられない(アニマルをアミナルと言う、ヘリコプターをヘカロプターという、ハンバーガーをハンガーバー、パジャマをチャママなど)
・中耳炎などになりやすい
・どもり・吃音
・左右をよく間違える
・利き手が定まらない、または定まるのが遅い、両きき
・靴ひもを結ぶのが苦手
・電話番号、住所、アルファベット、アルファベットの順番を覚えるのが遅い
・韻を踏む詩などを作るのが苦手である
・家族や親せきにディスレキシアの人がいる
すべて当てはまる場合であっても、幼児期の場合は確定診断が困難ということなので、これらは参考のみにとどめるべきですが、これらの症状はうちの息子にも多く当てはまりました。靴ひもを結ぶのが苦手、アルファベットが覚えられない、などです。またパジャマをチャママと言ったり、ヘリコプター、ホスピタルなどの言葉を間違えることが多かったように思います。
次に、ディスレキシアの子どもは読むことが苦手ではありますが、まったく読めないわけではありません。間違いも多いですがディスレキシアの場合には特徴的な読み間違いをするということもSuzan Burton指摘されています。
ディスレキシアに特徴的な間違い
・1つのページでは読めたのに次のページにくると同じ文字がわからなくなる。
読み方は分かっているのに、見たことがない言葉だと発音ができない。
・物語を読ませると単語をひとつひとつ分けて読み、読み方が遅いお話らしく聞こえない、朗読が苦手)。
・読み間違いをする時、頭文字または最後の文字が同じ単語と間違える。house-horseなど。
・文字を挿入したり省いたりする。could–cold 、star–stairなど。
・同じ文字でも書き順が違う単語と間違えることがある。who–how、 lots–lost、saw–was、girl–grillなど。
・読み方が遅く、区切り区切り読む。句読点を無視する。
・文字を読むと非常に疲れる。
・単語を読むことに集中するので物語の内容に集中できないことがある。聞き取りは読み取りに比べて格段に成績がよい。
・読む時と書く時に混乱する(読み書きが一致しない)
・アルファベットのbとd を間違える。
bとp、 nとu、mとwを間違える。上下をさかさまにする。方向を反対に書く。
・sunrise をsurprise、 houseを horse、whileをwhiteなど、似ている単語と間違える。
・物語やセンテンスで、同じ意味を持つがまったく違う単語に変えて読むことがある。
trip をjourneyと言う、fastをspeed、cryを weepと言うなど。
・an、a、from、the、to、were、are、ofなどの単語を間違えて読んだり飛ばしたり、付け加えたりする。
・書いてある単語の語尾を変えたり、違う読みをすることがある。 need を needed、talks を talking、 lateをlatelyなど。
これらの例はすべて英語ですが、日本語にも同様の兆候が当てはまるようです。
≪マイアット・かおり/プロフィール≫
フリーランス翻訳、フリーライター。新潟魚沼市出身。フランス・バスク在住。Nokia 携帯、iTunes、Microsoft 関連製品をはじめ、iPhone アプリなどさまざまなソフトウェア製品のローカライズ翻訳を手がける。Tumbler日本語ローカライゼーション公式コンサルタント。3ヶ国語環境という負担がのしかかるかわいそうなふたりの子どもたちといつまで経っても覚えの悪い夫の日本語教育にも苦戦中。