189号/林秀代

つい最近、私の二十数年前の上司Tさんの訃報が入ってきた。60歳を過ぎて病気と闘いながらも、現役で仕事を続けていた。その訃報を知ったのは、Facebookからだった。すでに一緒に働いていた人のほとんどは転職して、住む場所も...
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つい最近、私の二十数年前の上司Tさんの訃報が入ってきた。60歳を過ぎて病気と闘いながらも、現役で仕事を続けていた。その訃報を知ったのは、Facebookからだった。すでに一緒に働いていた人のほとんどは転職して、住む場所もバラバラになってしまったが、Facebookでは何人かとつながりがある。たちまち私のタイムライン上では、Tさんとの思い出話が交わされ、葬儀の情報もアップされた。豪快でシャープ、しかも優しく人の世話をすることが好きな方だっただけに、もうお会いできないのは寂しいが、エネルギッシュな当時のことを懐かしく思い出した。

二十数年前は、インターネットはまだ一般社会になかったが、Tさんと働いた情報科学系の研究機関ではすでに電子メールやチャットも使っていて、バリバリ文系女子の私にはちょっとした近未来体験のようで仕事も楽しかった。訃報がSNSからシェアされることは、もはや驚くことではない。でも、思い出話とともに嬉しかったのは、Facebookから友人のひとりが、「久しぶりにみんなで会ってTさんの思い出を酒の肴として、とことん飲む会をしよう」と言い出したことだ。賛同する人々がどんどん「いいね」をつけていたので、来年実現することを楽しみにしている。

会員が世界各地に住むライターやフォトグラファーである海外在住メディア広場でも、インターネットなくしては活動できない。それでも夏や冬など一時帰国の季節になると、会員間で食事などをしてオフ会を開いている。普段はメールで用件のみ伝えることが多いが、会うと予想以上に話しが広がることもある。せっかくいただいたご縁だから、大切にしていきたい。

今年も多くの方々にお世話になりました。みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。

(日本・神戸在住 林 秀代)