第15回 青色のコカ・コーラ

LINEで送る

青色のコカ・コーラ

物事を変化しないものと決めつけ、既存するイメージを絶対的なものとしてしまうのは悪いくせである。コカ・コーラのロゴマークは赤と白の2色の他、ブラックバックや透明であっても、ブルーであったことは無いはずだ。しかしアマゾン州、パレンチンス市には、世界で唯一青色のコカ・コーラが存在する。

パレンチンス市はアマゾン川流域にある人口7万人程度の島で、毎年6月の終わりに行われる「ボイ・ブンバ祭り」で有名だ。「ボイ・ブンバ」とは雄牛の死と再生の民話を、歌や踊りで興じる伝統芸能。パレンチンス市では、赤チームの「ガランチード」と青チームの「カプリショーゾ」が3夜、パフォーマンスを繰り広げ優劣を競い合う。

そして季節に関係なく、街は2つのチームに二分されている。中心部にある教会の西側が青組、東側が赤組。家々はそれぞれのチームの旗を掲げ、壁をチームの色で塗りつぶす。ライバルであるチームを名前では呼ばず、「反対側」と呼ぶぐらい対抗意識が強い。街はずれにある空港は、赤青どちらにも属さないため銀行、公衆電話など全てが赤と青の両方を強調することで中立を保っている。

そして祭りのスポンサーであるコカ・コーラに対しては、青組の地域で看板が撤去されたり、不買運動が行われた結果、コカ・コーラ社がロゴマークを青色にすることで決着。今では看板は青で、祭りの時期になると青い缶も販売されているのだ。雄牛に熱狂する、ブラジル人パワーを垣間見た気がした。

≪高橋直子(たかはしなおこ)/プロフィール≫
ブラジ ル在住10年目のフォトグラファー&ライター。若い情熱に惑わされてブラジルにはまり、まいた種が芽を出してはや7年。わんぱくに成長したわが子に、 読み聞かせ絵本のポルトガル語を直される毎日。ビールを片手に夜の街に出没し、サンバのステップに足を絡ませる日々を過ごす。ブラジルをあそぶブログ