第1回 コンビ二ドーナツ戦争にドキッ

コンビ二がドーナツ販売に力を入れるようになり、ちょっとしたドーナツ戦争が起こっているという日本のニュースを見た。ドーナツといえば、わたしがまだ中学生だった70年代、オープンしたばかりのミスタードーナツで「アメリカの味」に...
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コンビ二がドーナツ販売に力を入れるようになり、ちょっとしたドーナツ戦争が起こっているという日本のニュースを見た。ドーナツといえば、わたしがまだ中学生だった70年代、オープンしたばかりのミスタードーナツで「アメリカの味」にかなり感動したことを覚えている。以来、“ミスド”だけでなくクリスピー・クリームや、ニューオーリンズ発のCafé Du Monde、なども上陸。アメリカン・ドーナツは日本にも定着したといえる。

いゃ、それどころか、Café Du Mondeのベニエが日本で意外と知られているのにびっくりした。アメリカでは、ニューオーリンズを訪ねたことがなければ、その存在は知らないと思う。それもそのはず、Café Du Mondeは、ニューオーリンズ周辺に8店あるだけなのに対して、日本では全国に15店を展開しているというのだから。

午前中スーパーのドーナツ売り場に行くとお年寄りが占拠している

話を戻して、こうしたドーナツ屋でたまに味わうコーヒー&ドーナツは良いとしてもドーナツ商戦が“コンビニ”で勃発ときいて、在米者としてちょっぴり心配している。アメリカではコーヒーとドーナツが朝食代わりという人も多い。しかし、個人的な感覚からすると、10年前に比べドーナツに影が見えはじめているような気がしてならない。

なぜか?! それは肥満、糖尿、アルツハイマー患者の増大といった米国の抱える諸問題に、過去3、40年ほどのアメリカの食文化が影響していることは周知の事実となり、気にする人が増えているからではないか?と推察している。ベラボーに医療費のかかるこの国で、健康を害するのは自分の財産を失くすことに等しい。アメリカの典型的な食といえば、朝食にシリアルやドーナツ、昼食にはファストフードのハンバーガーやホットドッグ、ピザといったところか。一昔前なら、嗜好だけで食を楽しめば良かったのだろうが、これほど世間に不健康な人々が増えてしまった現状を目の当たりにすれば、「自分の体を気遣うゆとりのある知識層たち」が、食べて良いものと食べないほうがいいものを選択するようになってもおかしくない。

実際、わたしも以前は「郷に入っては郷に従え」で、“アメリカ流”を食べていた。しかし、ふと冷静になってまわりを見ると、(正確には自分の腹回りを見て?)「このまま“アメリカン”な食生活を続けていれば、自分の体も侵される」という気付きを得た。以後、「食べると害のほうが大きい」と思われる食べ物はなるべく口にしないよう心がけている。

このスーパーではドーナツなど食べる人のためにコーヒーは無料サービス

その矢先の、コンビ二でドーナツ商戦というニュースだ。美味しいものを食べるのはけっこうなことだ。だが、「ドーナツ&コーヒー@コンビ二」という図式が日本人の“生活スタイル”として習慣化された場合、その先に見えるのは、今のアメリカの負の病巣ではないか、各々がコントロールしないといつか国家レベルでどつぼにハマルだろう……と余計な心配をしながら日本のニュースを見てしまうのだ。

ドーナツは美味しいに決まっている。しかし、材料と調理法を見ればけっして健康的な食べ物とはいえない。特に、昨今のアメリカでは砂糖=毒であり、その中毒性はコカインと同じという発想も浸透しつつある。「砂糖の摂取過多は脳にダメージを与え、認知症にも影響する」「アルコールは害を知った上で飲むが砂糖に対してはあまりに無防備だ」と警鐘をならす学者もいる。わたし自身は、栄養学の専門家でもなければ、医者でもないので、その信憑性に触れることもドーナツがなぜよくないかを説明することもここでは差し控えるが、おもしろいと思った動画を以下に載せておく。

◆カリフォルニア大学のロバート・ラスティグ教授の講義、”Sugar: The Bitter Truth”(砂糖:苦い真実) (英語) 35:00あたり、7カ国のCHD( Coronary Heart Disease心筋梗塞などの冠状動脈性心疾患)の相関性説明部分では、、“sucrose with saturated fat. In other words, donuts” (飽和脂肪とスクロース。つまり、ドーナツと表現している)

◆CBC カナダ“The Secrets of Sugar – the fifth estate”(英語)28:20砂糖を与えられたネズミの実験に衝撃を受けた人も多いだろう。

◆英国BBCThe Truth About Sugar Documentary 2015”(英語)

椰子ノ木やほい/プロフィール
97年家族でサモアに移住後、2001年より米国・ミシガン州在住。

素朴で繊細な甘さの日本のスイーツが恋しい。アメリカのスイーツはやたらカラフルで甘過ぎて苦手。おかげでここでは、ケーキやクッキーに手をだすことはない。海外発のものに食い付きがいい日本人。アメリカ発の激甘モノが日本にどんどん入り込み、日本人の舌がそれに慣れ、甘さレベルが上がってしまわないかと、ちょっぴり、ひやひやしている。