219号/凛 福子

今年も紫陽花が美しい季節となった。花の色づきが早いなぁと感じられた関東甲信越の梅雨入りは、平均よりちょっと早めの6月5日。たしかに空はどんより……湿度も高くなってきて、梅雨っぽい気候ではあるものの、雨がいっこうに降らない...
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今年も紫陽花が美しい季節となった。花の色づきが早いなぁと感じられた関東甲信越の梅雨入りは、平均よりちょっと早めの6月5日。たしかに空はどんより……湿度も高くなってきて、梅雨っぽい気候ではあるものの、雨がいっこうに降らない。先日一日だけまとまった雨の日があったが、あきらかに「空梅雨」である。

さすがにこれでは水不足になるのでは? と思っていたら案の定、このままでは夏には渇水の恐れがあるとのニュースが次々と報じられはじめた。国土交通省関東地方整備局の公式サイトによれば、6月15日現在、関東の水がめとされる利根川水系の8ダム合計の貯水率は38%で、同時期の平均値に対する割合は46%、つまり半分を切り、ついに16日午前9時から10%の取水制限が行われるという。

ニュース映像では干上がってむき出しになったダムの底が映しだされ、事態の深刻さが感じられる。もちろん、空梅雨だけが原因ではなく、冬の降雪量、そして5月の降水量が少なかったことも影響しているというが、梅雨の時期に取水制限が行われるのはなんと29年ぶりとのこと。3ヶ月予報では7月の雨量は多めとの予想だが、同時に、梅雨明け後は猛暑との読みも出ており、本格的な夏の到来がいささか心配。こんなに技術が進化した今の時代にも、自然の脅威の前にはまったく無力な私たち。せめて雨乞いのおまじないでも試してみようか。

(東京在住・凛 福子)