223号/椰子ノ木やほい

秋たけなわ! 落葉樹の街並み木が美しい彩りを見せてくれる季節だ。青空と紅葉のコントラストに魅せられうっとりする一方、米国大統領選を間近に控え、気が滅入るような発言が連日耳に入ってくるのも現実だ。実際、品位ある米国人の友人...
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秋たけなわ! 落葉樹の街並み木が美しい彩りを見せてくれる季節だ。青空と紅葉のコントラストに魅せられうっとりする一方、米国大統領選を間近に控え、気が滅入るような発言が連日耳に入ってくるのも現実だ。実際、品位ある米国人の友人たちの多くは今回の大統領選の次元の低さを嘆き、ディベートさえももはや正視できないと言う。気分が悪くなるのでSNSを選挙戦が終わるまで見ないという人もいる。

今回は特に、米国建国以来の異常。良識ある大人とは思えない言葉遣いと態度。人に対するリスペクトを欠く差別発言を省みることもない“大統領候補”の存在に、まともな人々はうんざりしているのだろう。そして、うんざり候補を支持する人々がこれほどいる事実にも愕然としているようだ。政策以前にお行儀レベルで完全アウトな人が、このまま核のスイッチを操ることができる米国大統領になってしまったらと思うと確かに背筋がぞ~とする。……とまあ、大統領選のし烈なやりとりをチラ見せざるを得ない米国在住者としては、ストレスが溜まるこの頃である。

そんな中、ほどよく回って来る地球丸の原稿読みは、良い気分転換となるものの、これほど選挙関連ニュースが凄まじいと気持ちの切り替えもなかなかできず、原稿を読みながらついつい頭の中のトランプ氏に話しかけてしまう。

「もし“勝てば”、選挙結果を受け入れる」という彼の発言にはさすがに目が点!  そこにスプリスガルト友美さんのポーランドで柔道の話を読み、「この子たちは少なくとも勝敗は練習の成果であり、結果として受け止められる大人に成長してくれるわね。あなたとちがって!」

板坂真希さんの「文明化された俺」を読み、「負けたら結果を受け入れないあなたって、自分の都合で人を呪うヌヌマ民族とどう違うの? 文明化されていないあなたはそのうち呪われるわよ!」

てな具合に。

結果は結果として受け入れるしかないが、早く選挙が終わってほしいと願う秋の夜長である。

(アメリカ合衆国・ミシガン州在住 椰子ノ木やほい)